レッドデータは、何のためにあるのか。絶滅危惧は、何を目的とする指標か。
おそらく、人為的作用による生物多様性の低下・喪失に対して警鐘を鳴らすためのデータ・指標なのだろう。
しかし、虫の消長は必ずしも人為的作用によるものばかりではなく、そこに難問があるように思える。
神奈川県や東京都区部で絶滅危惧�砧燹陛豕�都多摩地区では準絶滅危惧)とされているアカアシオオアオカミキリが、今年になって両都県のいろいろな場所で多数見られている。これは、ナラ枯れの広がりによるものであり、人為的作用で増えたわけではない。そうであれば、この大型のカミキリムシがそもそも減少していたのも、必ずしも人為的作用によるものではなかったかもしれない。生息環境そのものは、実は損なわれていなかったのである。
最近、都区部からゴマダラカミキリが姿を消しつつある(河川敷とバラ園を除く)。別にホストの樹木が急減したわけではなく、これも人為的作用による環境悪化が原因とは、なかなか考えにくい。ということは、また何らかのきっかけで増えてもおかしくない、とも言える。要するに、虫の増減の要因など、よく分からないのだ。
レッドデータは、本来の目的からすれば、人為的作用により減少・絶滅するリスクがある対象に絞るべきであろう。そうでないと、そのデータや指標をどのように活用すべきか分からなくなってしまう。しかし、虫の減少が人為的な要因によるものかどうかの線引きは、意外と難しいのではないか。我々の周りには、説明がつかない虫の増減が常に繰り広げられているように思われるのである。
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