日本甲虫学会の会誌さやばねN.S.新刊号に掲載されたトラフコメツキの論文を拝読(筆者のお一人は御者さん)。トラフコメツキは全国的に一種であると、結論づけている。まずは筆者の方々の労をねぎらいたい。
東京都区部では、都心のわずかな緑地でもごく普通に見られる一方で、東京近郊以外では、そう簡単に見つかる虫ではないと言う(現に自分は鎌倉で見つけたことがない)。そうであれば、里型と山型と少なくとも2種いるのではないかという疑問が自分にはあった。特に、東京都区部で容易に見つかるという生態は、いかにも外来種風であると自分は感じていた。しかし、形態上は一種と判断せざるをえないとすれば、なんとも不思議な生態をしていると言うしかない。
以下、個人的な観点からコメントを2つ。
第一に、同論文では、東京を含む特定の地域では「中・後側紋が完全に消失してしまうことはない」としているが、自分は東京都目黒区で中・後側紋のみならず中央紋まで消失した個体を見つけている↓(この個体の画像はコメ談に載せたことがあるので、筆者の方々はご存じと思う)。このことは、本種が全国的に一種であることの裏付けともなりうる。もっとも、こんな個体は、東京都区部で優に100個体以上見ている中で一つきりである。
第二に、Selatosomus属から独立させてPristilophus属としているが、欧州の有名な美麗種Selatosomus cruciatus(↓画像)と同属の扱いであってほしい。自分はその根拠を持ち合わせていないので無茶な話だが、フィールドで観察した直感から、この美麗種は日本産トラフコメツキにきわめて近縁な種であると思っている。トラフコメツキがPristilophus属であれば、この美麗種もPristilophus cruciatusとすべきということかもしれない。
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