ナガイムナクボシバンムシ Hadrobregmus nagaii(以下、「ナガイ」という)は、神奈川県では1個体のみ、平野ら(2006)※によって記録されている。その標本個体を実検しに、本日、収蔵先のあつぎ郷土博物館に行ってきた。
※平野幸彦・高橋和弘・槐真史, 2006. 厚木市七沢・大山のコウチュウ目, 厚木市教育委員会編, 厚木市七沢の動植物��. 厚木市郷土資料館資料集, (20): 3-90.
標本の外観を検鏡し、生殖器を抽出した結果、
その標本個体はナガイではなく、同属の H. ishiharai (和名なし、県レッドリスト種)の♀であることが分かった。
これにより、神奈川県昆虫目録は1種類減ることとなるが、
H. ishiharai の♀個体が確認されたのは、全国で初めてである可能性がある。
(標本個体↓)
(N田氏より送っていただいたナガイ♂↓)
(自分が採集した H. ishiharai ♂↓)
ナガイとH. ishiharai は外観上よく似ているが、外部形質上の相違点はいくつかある。そのうち、H. ishiharai の記載文の検索表に載っている、前胸腹板の中央の縦隆線の伸び具合が分かりやすい。
その縦隆線は、ナガイでは前端から伸びているものの、半ばほどの途中で途切れ後端に届かない(↓画像で伸びているように見えるのは毛束のようなもので、隆線自体は半ばで途切れている)
一方、H. ishiharai では前端から後端まで貫通している↓
標本個体では、前端から後端まで貫通していることが確認された↓(台紙を取り除いた後も確認し、画像を撮ったが、濡れていたため縦隆線の画像が不鮮明)
また、上翅の小楯板わきから伸びる点刻条の長さも少し異なる。ナガイでは、上翅の3分の1ほど(記載文の記述)の長さ↓
一方、H. ishiharai では5分の1ほど(記載文の記述)と短い↓
標本個体でも、短かった↓
その他、前胸背板表面の顆粒の密度、小楯板の形状など、両種の記載文に記述されている外部形質上の特徴からみて、標本個体は H. ishiharai であると判断された。
続く。
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