さて、東京都区部で「虫が減った」と感じない大きな要因とは何だろうか?
それは、「外来種」の存在である。これには、国外からの移入種だけでなく、国内からの移入種(「国内外来種」と呼ばれる)も含まれる。外来種は、数の上で言えば、在来種に対して追加的または補完的な役割を果たしている。
外来種は、目立つ。外来種には在来の天敵が居ないため、移入当初に数を急激に増やす例が少なくないからだろう。また、東京の四季に順応していないせいか、晩秋から冬にかけて、いわば季節外れの時期に活動していることがあり、そんな虫は目に付きやすい。
さて、外来種の存在は、在来の生態系に攪乱的な影響を与えることから、歓迎できるものではない。特に外来種が「侵略的」で、在来種を追いやるようであれば、問題は大きい。一方、在来種と競合せず、「侵略的」とは言えない外来種であれば、望ましい存在ではなくとも、見方によっては生物多様性に寄与すると考えられなくもない。ただし、「侵略的」でないと証明することは、容易ではないように思う。
いずれにしても、東京都区部のように内外を結ぶ交通の往来が活発な場所では、外来種の移入を防ぐことは、実質的に不可能である。また、植物は外来種の移入を積極的に受け入れつつ(街角の花屋を見よ!)、昆虫の外来種だけの移入を防ごうとすることは、ナンセンスでもある。とは言え、実は膨大な数の外来種が東京の玄関口にやって来ていて、そのうちのごく一部のみしか定着していないのかもしれない。我々が目にしている外来種は、荒波の中を小さなボートでたどり着いた果てに、偶然にも生き残る幸運を得た難民たちなのである。
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