外来種の中には、移入後に定着しなかったものがある。むしろ、人知れず入って来て人知れず姿を消した外来種の方が、数としてはよほど多いかもしれない。
ところで、偶産種という用語をネットで検索すると、「本来その土地に生息していない種で、他の地域から偶発的な要因で移入してきた種」という趣旨の説明が見つかる。「偶発的な要因」は人為的な要因に限られない(例:台風による迷蝶)ようだが、そのことを除けば、偶産種の意味は外来種と同じになってしまう。そこで、偶産種は移入先で一時的にしか生息しなかった種に限るとはっきり定義すれば、語感上もしっくりくるように思う。
定着しなかった外来種、すなわち人為的な要因で移入してきた偶産種の例としては、2019年の年末年始に自宅隣の神社で見つかったマエフタホシテントウが自分は直ぐに思い浮かぶ。マエフタホシテントウは日本では本来南西諸島でのみ生息しており、自宅隣で見つかったマエフタホシテントウは、その斑紋から大陸由来の外来種であると考えられている。このときは5個体がごく局所的(その神社内)・一時的(年末年始)に見つかっただけで、その後は姿を消してしまった。しかし、その後ネット上に別の場所・時期の生態画像(大陸型)が載ったことがあり、また、自分自身が昨年11月に職場で1頭見つけてしまった。繰り返し移入しているのか、それとも細々ながら定着しているのか。
フランスのパリ周辺で最も普通に見られるハナカミキリに、Stenurella melanura (Linnaeus, 1758) という種がいる。自分がフランスに赴任していた時、この種はキソコマベニハナカミキリという和名が付けられていたので、てっきり日本にも居る種だと思っていた。しかし、実は日本では1978年に長野県で♀が1頭採れただけで、今は偶産種とされているようである。この種は♀だけ赤く♂は赤くないので、その1頭の♀だけを見て和名が付けられたのだろう。
とりあえず外来種の考察シリーズは、これで終わります。
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