2021年10月から4年近くにわたる都区部某所の甲虫調査は、先月に実地調査を終え、報告書のとりまとめの段階に入っている。求められていることは、新産種(未記録種)の抽出・整理である。
過去に綿密に調べられている場所ではあるが、自分自身だけでも今回の調査において採集した新産種は、結構な数にのぼる。その理由は何だろうか。
主な理由はおそらく、昆虫の出入りの多さと、それを促す環境の頻繁な変化である。
都区部某所は、きわめて安定した環境を保っているように見える。しかしながら、時を経て樹木は成長し、入れ替わり、植物相はゆっくりと遷移する。それに伴って、昆虫相も遷移するはずである。
さらに、ナラ枯れという大きな環境変化の波が押し寄せ、これまで見られなかった昆虫が、たとえ一時的にせよ姿を見せた。例えばルリオオキノコはこれまで未記録であったが、調査期間を通じて多く発生していた。逆にナラ枯れによって姿を消した虫もいるだろう。
そこまで大きな環境変化でなくても、ある大樹が老衰して伐採されれば、その伐採木に普段なら見られない昆虫が現れる。そのようなミクロの環境変化も、調査結果に影響を及ぼす。例えばカジノキの倒木に、イワサキケブカカミキリや種不明のキクイゾウムシが多数見られた。
開発による緑地の減少からは無縁に見える都区部某所でさえ、マクロ・ミクロさまざまなレベルの環境の変化や推移にさらされ、それに応じて昆虫のファウナも変化しているのであろう。
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