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日記一覧

新詩集『橋が言う』刊行
2017年09月30日08:06

 版元のミッドナイト・プレスからきのう、ぼくの新刊詩集『橋が言う』がとどいた。嬉しくてつらつら眺めたり、手に持って感触をたしかめたり、いくつかのやりかたで読み返したりして、昨日はやるべき仕事が手につかなかった。やや小ぶり、微妙に正方形から外

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ひかる塩
2017年09月29日09:34

 【ひかる塩】  ウィリアムフォックスタルボットひかる塩あるカロタイプもて石のようなひとをあらわすためときのながれなどとめるのだはだのさまはひとたびあらくなりはなれてみえるだろうものもたまゆらではなくみらいにひろがるそれでまどべをたたずむす

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自叙
2017年09月26日17:40

 【自叙】  ふるくなってくるしいときにはとうめいにまもられたまどべからせかいがやわらかくしわむのをじぶんより老いているとながめるまちだにすんだころには鉄路がみえむかいあうあさいみどりもあったすべてつかれるへだてだったがあさひのさしこむまぶ

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 札幌イベントスペースエディットに、マズルのライブを見に行った。林栄一のアルトサックスを中心に、ダブルドラム、ダブルベース(ひとりはウッドベース、もうひとりはエレキベース)、.ダブルエレキギターという信じられない編成。ちなみにギターのうちの

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 大量の文字による圧倒感はあっても、これまで自分がもっていた蓮實観はあまり変わらなかった(初学者は必読だろうが)。「わたくしだけが気づいた」小説や映画の細部を突きつけることは基本的にはブラフを機能させるし、否定が論法となるし、読者は「排除と

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角度
2017年09月23日16:27

 【角度】  おもいでにはとくゆうの角度がつくたとえば少年期までをすごした家ではまどというまどがふきぬけのようにあかるくみえるせまい階下になじんだ湿る黴くささにからだをわけいらせずっとうえをながめ仰臥していたのだひとについてどうみたかにも角

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よさめ
2017年09月16日16:10

 【よさめ】  あめのやんだのに気づかぬふりで夜道でこうもりをさしつづけたもとより傘をかざすひとのすがたが奇体かつはかないのがせつなくよるには足のはこびがうかびかおのきえるのさえおもいだしたささげかかげるもののないこの世にわかれのあいずをと

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ヨン・サンホ、新感染
2017年09月13日12:42

 【ヨン・サンホ監督『新感染 ファイナル・エクスプレス』】 いっさいが超弩級だ。意味不明なほど盛りだくさんだ。韓国アニメ界のすばらしい才能ヨン・サンホがはじめて実写映画を手がけた『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、「ゾンビ」を題材とした

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ふぇあうぇる
2017年09月12日06:04

 【ふぇあうぇる】  であいがそのままわかれとなる雑踏をゆきあうとはおおよそそんなくるしみをともなっていてならであいのないわかれだけかきものでかんがえるしかないわかれそのものへちかづくために腋や股間やりょうあしのはこびみずからのからだの分岐

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ハリーの災難
2017年09月09日22:01

 ヤボ用で研究室待機のなか読んだ松本圭二の小説が異様に面白かった。松本圭二セレクション第8巻で3篇収録。『さらばボヘミアン』も『タランチュラ』も絶品だったが、より自己現実要素から虚構へと傾斜した最後の『ハリーの災難』が、その分類不能性によっ

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天の川銀河発電所
2017年09月08日10:51

 山田航の編んだあたらしい短歌のアンソロジー『桜前線開架宣言』は多方面に評判をとったが、そのむこうを張り佐藤文香が「俳句版」として編んだのが、『天の川銀河発電所』。俳句の現状への俯瞰をみちびく労作なのはまちがいないが、いまの短歌のあたらしさ

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 【三島有紀子監督『幼な子われらに生まれ』】 開巻後ほどなくして、血縁上「分離」と「無縁の融合」とをしるす、ふくざつな家庭状況がみえてくる。郊外の瀟洒な一戸建から商社に通勤する、中年の主人公・信=浅野忠信を中心に、映画での叙述順ではなく、役

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皮膚の心
2017年09月04日08:41

 【皮膚の心】  はんそでのころもをうばわれひふ、だけとなってぼうぜんとけしきのなかをながれているぼさつの掌紋によってまるめられかたちづくられうすく鞣されたこのまはだかのけいばつのひふは市電ぞいのあさのひかりをすいかげのひややかさと日のぬく

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