【水明】 ときでは水は掬うことをせずしゅんかんをつかまえるものだその戦意にぬれおえた手であなたのまどをたたいた がらすのなかは不在といえないみずべでもないのにいたるところさざなみが映えてゆれていた みずあかりとひくくよんでみたひかりだす
【冬至】 このじせつのひるすぎ三時はもう一時間でくらくなるとあってうすあかりのなごりのようだ 的をみあげればからだも揮発するずるがしこくゆきぐもからはなまぬるいあめが糸をおろして的の複数にくらくらしだす 雪上のみずっぽさを北季語でこはる
【粉乳】 霊へのちかさでからだができているとすればただしくやかれるためには悔恨を重くしなければならない 天国よ骨灰盒にいれられてそんざいのぜんたいがかえされてもよいのだろうか 二元論がきえたのではなく霊へのちかさがうしなわれて 骨灰はき
【木人】 家のなかは閉塞する愛でいっぱいだたとえば柱と梁がたかいところでするどく直角にキスしていて かぞえれば家のなかを千手がめぐりみたものはくうかんにほんやくされた からだこそからだをしまう棺なのに家ぬちもまたそうなろうとしてねどこや
昨日、「ぴんくりんく」の太田耕耘キさんからメールがあって、映画監督・脚本家の井川耕一郎さんが肝硬変で11月25日未明に急逝されていたことを知った(葬儀はすでに近親者のみにて終了)。享年59。夭い。以来ずっと胸の潰れるような思いが続いている。家に