【階】 階段のなかみはなににあるかふみづら裏か蹴あげ裏にあるとしていずれ不敵にわらううつろだろう階段はおなじばしょのあらわな自乗なかみが刃物となる想像でもあるのぼることがおりることになるえっしゃーのだまし絵がすきまえからみあげるとじゃば
【青】 水をこぼしつづけるしごとそのようにからだも渓流となってうごく奇異を月あかりへしるすまんげつにちかづいてきてなにかあおいものを岩が欲しおとの領域にあおさをこぼすのだよい音がよいひとのきぬずれよいかたちならばいつも変化でつきのはらに
【欄】 まるく独立させるとようをなさぬものとしてひとつの木橋はあるだろうはるにはうかぶものがあまたあふれだすがわずかな桁すらかすんでまなかにねむる犬をしずかに置くようになるかおをなす川のうえへみずのめだまをかさねてふる橋はみずからのまる
「現代詩手帖」四月号、北川透、吉増剛造両氏による、鮎川信夫賞の選考対談を読む。おふたりのものすごい思考エネルギーにひたすら敬服した。候補にあがったすべての詩集・詩論集を精緻にかたりあい、そこから詩の現在をものすごい迫力でひきずりだしている
新著がとうとうできあがりました。本日、一冊だけ手元に届いて、学内各所への納品分は週明けまでに届く由。またもや年度内ぎりぎりセーフの、薄氷わたりでした。概要は以下。『平成ボーダー文化論』 阿部嘉昭著 水声社刊 発行日2015年3月25日四六判437頁
【北野武監督・脚本・編集『龍三と七人の子分たち』】 北野武監督の新作『龍三と七人の子分たち』は見事な混色の交錯する、上質なコメディだった。コメディのポリフォニー的な雑多性というのは、もちろんヴァイオレンス提示の呼吸に長けた北野武監督の、
【埒】 この世、ということばの幅はとおく白木蓮などの咲くかこいのひろさと照りあうもんなかの公園でこの世へはいりうるみをますかぜにつつまれこの世をとけたくわたしはなったもとよりおとこのしずくなどけいしょうには要らぬものだが肩においた手がそ
【眸】 まなこはただの対ではないそれらのひかるまわりになにかまだらまでちりばめてすべてをうすあかりさせるかぜのふきわたりにまむかいかおのなかば透くひとらがまちをしろくぬけながらながくたれるやなぎを予感するひとつのきせつごとに立体のしつが
【猥】 くらげはいきもののりそうだからだのほとんどがみずでうちがわとそとがわのべんべつなどつけられずみずにただようだけのいのちをあたえられながらときにおおきなむれとなってうみなかをよぞらにもするながれをただよいながらくらげのうごきはただ
【クリント・イーストウッド監督『アメリカン・スナイパー』】 撮影時に84歳だったはずのクリント・イーストウッド『アメリカン・スナイパー』は、またもやイーストウッド映画特有の「奇蹟」にいろどられていた。「9.11」同時多発テロを契機に、イラク攻
【抛】 たたく棒が神的に球をたたきおおきな抛物線がうちあげられその軌跡が空のただなかへきえるうたれたものはいつまでも落ちてこず内野すべてが暮色をかんじ帰ってもわたしら外野はずっと天をみあげ守備位置をくずさないでいたそのうちに天上こそ奈落
【松永大司監督『トイレのピエタ』】 昨日試写で観た、松永大司監督『トイレのピエタ』がすごく良かった。将来を嘱望された画学生が、美大卒業後、なぜか生きる意欲を失ってビルの窓拭きのアルバイト仕事に甘んじている。すべてが失われたままでいるこの
数日前、ぼくがここ(FB)に書いた「減喩」についての文章のコメント欄で、萩原健次郎さん、一色真理さんおふたりの畏怖する先達から、神山睦美さんの卓見にもふれつつ、ぼくの『換喩詩学』での換喩の概念拡張につき、質問が出て、それにたいするコメントを
【角】 こうごうしいやりくりはさんかくトレードみたいだひとつのいいまわしをうけるとそれとはべつのいいまわしがみしらぬたれかへ手わたされるこのやりとりをおんなにたとえればさんかくのかたちそのものがいけにえをささげるすべになるわたしらがみと
【エドワード・ヤン『恐怖分子』】 エドワード・ヤンの『恐怖分子』がデジタル・リマスター版として今度の土曜(3月14日)から、渋谷シアターイメージフォーラムにて公開される。86年製作のこの台湾映画が最大の引き金になって、ぼくは勃興しつつあった
今朝まで女房がいて(短期間の滞在だった)、数日をまったりすごした。確定申告の書類完成のために来てくれたのだ。それ以外にも女房は諸事で多忙をきわめ、胃をこわしていた。それで胃薬がわりに大根を食べようということになり、かぐや姫の歌ではないが、
【睫】 めはながちっているだけなのにそれに物量と方向とがともなって貌がもようとなり精神ともなるのはにんげんにあたえられためぐみだろう軽重がかわるのを目睫にみるのがすきだこのとき方向に翳をたすまつげや貌のてまえにふる雨にも魅せられるとりわ
【針】 ゆうがたがきれいならそのしたをゆくひとらの膵がきらめいているといつもかんがえてしまう星をうつすかおがぼんやりしょうじるまえの一刻は身に針孔もあいてみえるのだそういうのがひかりだろうゆうがたには陽のかたのまぢかひっそりとしろさがこ
【闢】 ゆきのつくる鏡をまたぎこすとその面にはへんなわたしがみえたせつなをみおろしたのはたしかだがわたしはすばやくひらきゆく股にすがたすべてを集約されていたそれのみかすぎさるもののたえがたい加速と残像によってわたしのかたちまで失火してい
【腐】 とおざかるうごきがこころにしたしくちかづいてくるうごきがむねをふたぐのはなぜだろうみちというものが路上にゆくえともどりを盛るためだちかづくすべては祝言を秘めてしまいはひとのかたちをするそれにかおのないことが列をなす麦神をおもわし
本日夕刊の北海道新聞に、連載コラム「サブカルの海を泳ぐ」の第12回がたぶん掲載されます(夕方は自宅に不在の予定なので、予告しておきます)。今回は、今クールのTVドラマ『ゴーストライター』、北海道で公開中のティム・バートン『ビッグ・アイズ』、
鮎川信夫賞受賞で「商機あり」と見込まれたのか、昨秋のぼくの同時刊行詩集(思潮社オンデマンド)のうち、『空気断章』と『静思集』の二冊が、なんと40%オフ、という破格のプライスダウンになっています。売れないがための苦肉の策かもしれないけど(笑)
【お知らせ】「情報秘匿」義務時間を過ぎたので――本日、去年の拙著『換喩詩学』が第六回鮎川信夫賞を受けました。午後六時、思潮社の亀岡さんから電話連絡がありました。岸田将幸さんの詩集『亀裂のオントロギー』と同時受賞です。審査決定期限のちょうど