【刑余】 くりかえし飲食をしくじっているきのうより瘠せるか肥るかしているたぶん瞬間へのかんがえが惰弱なのだ おやをはんでいるようにうごくくちばしのひらきもできなかった おんせつをくだき恥を嚥下するはいぼくがこのあるべきくちになくかおがま
【器官】 じぶんがかげのような死神でだきしめたものをころせるならばぜひともあれをとねがう幹がみえた しぬおりには乞うすがたをしてたかさをあおぎ、せつなく崩れたいがだれかにふれられることで伝えたい終焉の中途というたかはらもあるのだ そんざ
【卒業】 みなみ風のはげしく荒れる日は爾後もおぼえているにあたいするおなじ舌が空でひるがえりやまない わたくしどもの生きはさみしくものを祝うならその渦中にではなく事前と事後の二度にこそそうすべきだ渦中ならしずかに惜しみそれでも祝意を倍に
クリント・イーストウッド監督主演『運び屋』は朝鮮戦争退役軍人世代で、「男」を貫いた類型の、現在生存中ならという条件付きでその寒々しい孤独と、悔悛後のほんの少しの光明を描いた、恐ろしい映画だった。花作りに情熱を注いだあまり家族の大事な記念日
すごい映画を試写で観た。鈴木卓爾監督『嵐電』。路面電車と縺れ合うようにいくつかのボーイミーツガールが進み、「どこにでも行ける」。ヒロイン嘉子役の大西礼芳の表情変化とタイミングと対象との距離に動悸と笑いがやまず。弁当屋さんの女子が方言指導で
【仙境】 水仙のひろがりがしろくきいろくありかさならないものらのつねのように おおきさをくつがえしゆれていた そこからあそこへとしゅうじゃくなく扇がのびると百秒後の自分がみえるのも 恍惚のさだめなのだろう ひかりはさす、ささなかったナイ
【雨水】 いくつか点をみおろすのはすきだけど気圏のおびがうすくゆれているのははじめおそれてみあげるはずだ どうしようもなく地圏の丘にありたたずみながら通過しているからだは もうちかづいたとおぼえてもさらにちかづくものをながめやったひとつ