【種類】 オリーヴのあぶらをおびえてかぶるこがねいろのままにしばしあゆみ着るもののひだがわたしをかがやいた みるくをはこぶむすめらとゆきかう塩漬けの豆さえあればわれわれは冷製スープとなってしずかにまざるひとのかわりにスープにならないか問
【無色】 ぜぶら屋があまいぼだい樹のもといつのまにかあわくあらわれていろのないたぐいをひとにあきなう うまのすがたで多くはうごいているがいんど時代の写真やフィルムまでいろのなさからにわかに手ばなしてひらものとかまきものとか称している す
【悪穂】 手でふれてしたしむときには眼はみえなくなろうとしている黙考にある、ふたえのさまのように しばしばしたしむ、ふれうるものならたとえそれが隻句や垣であっても みえているものは手にふれるとみばえとことなるさしもどしをするだからこそく
【聖水】 ほねの髄をくりぬいたうつわにすこしとろりとした水を容れ坂のいただきの家まで日々はこんだ ながいひるのあいだすこしずつくちびるへ挿しいれる角度をかえおおきなかぜのあじがしますよねとその舌にかたりかける日課だった ゆうべくりやでほ
【炎点】 さる夜は顔の映画をみましたかかおが遠点になるまでをとらえたほしぞらのようなおわりを それからのエンドロールに人名もなく表情のゆらめくやさしさがながれたおわる予感のそこにこそ幻燈がのこりいないひと、いないひととなげいた それぞれ