59 もつことを添える、といいかえて枝たばを身の脇にかかえているこの枝にはわたしこそが副いつつ縦ひとすじはほそく恋いあまる
58 おとめごのからだがやがて瓢箪形になりおもうことのすなどけいがみたされてゆくみているのだ瞳があまいわくらばなのもたったひとつをふたつへひびかせていると
57 このちいささは速さではないかと蝶などを手にのせおもうことがあるおぼろな犀におちた気さえしてうれいだしたところへつげられたものの裏切りが大小の聖ルカとなる定まらなさの一頭がみえていると
56 ふかく山をもちいるものを杣といい山にひそみあるものは仙というがときにより杣のうごきを仙がつつみ芽を食むさますら女々しくさせる髪も眼もわかみどりにみな染まってくぼむ息だけ食へつながってゆく
55 水にかかわるしごとをしているがそのことをあかしせよといわれ川床に足を置きかたちをつくったからだが水と見分けなくなるまでのさみしさをそらからみてもらった
【瀬々敬久監督・脚本『友罪』】 そうか、去年は「酒鬼薔薇聖斗」による神戸連続児童殺傷事件の20周年だったんだ…。「犯罪」と「少年」と「地域」、それぞれへの意識を崩壊させたこの事件は、猟奇的な着眼などを超えて、なにか致命的な楔を、日本の精神風
54 おんなごとに髪のあらいかたがことなりおもいやればただひとつのふろばさえひとのよのうたせ湯とすることもできるうずくまりつつにおいであふれ滝髪はすがたよりふきつに外の面をかくす
53 うつろとみえるなにもないみなもにうきくさがけはいするのはいつごろかあつまりがただ気重にうかびゆれて智のおもいそだてるゆううつさながらとおいちりめんをおもわしめるのは
52 まよなかの窓からきたともだちは夢にあらわれたといっていいだろう乞われてわかしたちいさなふろでからだあることをかなしむまにまにしろい通り魔もはだへとぬりあうちりの世にたまのかがやき散るまで
51 おうなから釣をうけとるときにぶい残響がてのひらへおりたさみしいはずれの駄菓子屋十円からひかれた穴あき五円があがなった飴と対をなしてのどかに両の手を病むことをかえるさのはこびにてかくした
50 大木をみあげると声をあげてしまうのはことばが組ではなかったころのことをおおきさそのものがよみがえらすためだおそるべきかたちはふくざつで野蛮で抱きとめるまなこをくらい眼窩にもどしすぎたるさまをとめどなくふりゆらす
49 わたしのわるい癖はあたまをはずし肩のうえへたかくかかげることだいなみをもちあげるこのしぐさからふきぬける風がくろいともいえてふたつある優位すら野にとおくある
48 鮮らしいことばのながれをめぐりわたしらのあたまは積荷となる文節のわたりが花の名にもきこえ圧縮か圧延かわからぬかたちではるに鋳出す仮の世の息があおむ
47 十二月の大工ヨセフは身重の連れがぶどうのようにかがやくのをながめた記載からきえたあとは慰安がおどるのを仲間の石工たちと日々ほそくみつめてしるしする柱頭へまるみをのこした
46 天与アリとよそおうこと詩のものらがかさねるのはわざおぎのおぞましさだねくびまでもうつろへいれゆれるためのゆれをして
【ウォン・シニョン監督『殺人者の記憶法』】 今年1月末にシネマート新宿で公開され、それを受けて札幌ではディノスシネマズで公開されたウォン・シニョン監督『殺人者の記憶法』は、上映があっという間に終わり、残念なことに見逃してしまった。イ・チャ
45 楽、という字のようにとおくつばさをひろげている鳥がありいち羽が数羽にもひとしいそんなあふれでるしめしをかんじる音楽がとまらなくおぼえるのはふたしかなものを島のそらはるかその身に聴きおよぶゆえだろう
44 紐のようにながさになりたいかたちはむすばれれば狭霧をただよわすのだあたまのどこかでそんなおくつきがありひとはみずからをかなしみつつ約す日のおわりには扼すとまでいいかえてかんがえそれだけの象形がつぶれる