【半消え】 おんなのうでといいかいなとまたよんでみるものをつかもうとするおおもとのうごきがうすやみにほのじろくわかれだすからだのながれるような中途がてのひらのおわりをけしいましてのひらへはいったりんごも半消えとする
今号(10月号)の「現代詩手帖」に、畏敬する詩作者・貞久秀紀さんとの対談「減喩と明示法から見えてくるもの」が掲載されています。拙著『換喩詩学』の鮎川賞受賞を契機にした対談ですが、「想起」型(「想像」型ではない)の現在の詩作がどのような精神
【橋間】 とおく雲間があるのなら橋間だってあろうかとあつまる川をあみだにあるいたさまよいが瞑想へとけあってゆくいぬからまなんだゆきかたはよるにながれるしろがねをなしたあみだくじをたどってゆくのはいぬのむれのひくいうつりであがるのもとある
【もちづき】 ゆっくりふりかえってゆくさまはなにかおおきなかげのひびきそのもとにしずけくあってかおなき貌のまどおい香盆からましろのかがやきをはなったなみのもちあげられるうえ暗中たかく完璧はさみしくて楕円軌道のおくふかい二にひかれ裂かれて
【倚らない】 どこまでがかたちでどこからがゆれかわからなくみえていたしろい花の草としてあの詩がつづられていた九死があって一生をむすばぬなにかの刻々だったろうしかくく土手がふさぐからあゆみはそこをのぼりひかるものをみわたすがどこまでがみず
【こいびと】 えいぞうなみにまたがってからだおんながとおくのぞむうらがなしいのうらがこころの意だとくりかえしなみだぐむちちふさがらんちょうをうごくえいぞうなみにあえぎすいふようの身ふくろをゆっくりとあからめるうらのぬれるおうせではみだら
【ライトヴァース】 大型連休が迫っているが、姪との同居解消にからんで女房がまた木場近辺へ引越しをするので、その手伝いも兼ね連休を挟み東京にもどる。帰札後がすぐ2学期開始。このところシラバスに書く授業計画がやんわりと具体的展開を外していて
【黄道】 くうきのあいいろにすむなかあんなとおくつつみのさかいをひとがきがびっしりとつらなっておわりの侵入にあらがっているそれでもまえからのみならずそらよりもそそぐはてしは垣をことなりにみせてしまうたとえばとりどりの瑞星をもやしながらこ
【寝刑】 寝台でうすぐらくねむるひとにはねむりのましたをもやいがあらわれさかのぼる舟でもあろうとする予行では台が要るという西のおしえにかんもくするからだがさからわずあさがてらしだすまでみずをうかべ天蓋となれなかった属におうらいさせるとじ
【露刑】 まどにそう露台というのは半分の外でそこらへたつのはおしなべてせまくすいたカーテンで身をおおうかわりにとんぼうのあらわれがそとがわをうばういくえにもまなざしへたいらにはいり大雪山からのそのつめたさが糸をなしてみることからゆっくり
【盲者】 ひと日がとあるうつわだとしてきれいな朝ときれいな夕のあいだにくりかえす海嘯のみをききにゆくこの世をゆきつくしてしまえばふりかえられるのはみずからとじるぬれたからだのようなものだからなみうちぎわも髪さながらにゆれ顔となるべきうご
【秋の音階】 つぼをさかさにかかえ一滴のこらずあるいてゆくとからだだってつぼに似てしたむきの穴がぼけるわたっているそのときから途中の色を消しさるためつぼから幅のない木橋へとおうごんをそそぎいれ下とそうでないところがどのように反りあってい
【庫裡】 つねよりもかるい水をてのひらにまろばせながらあそこを水明かりのみえているのがわからんかそうおどろかす師がいてみえるものすべてはからだを軸にしながらふたりのたてものにちがう方向をあたえているそれが庫裡というものでふたつあるからだ
【こもれび】 はんぶんだけみるよろこびをはんぶんだけあるきながらかげのなかにほこりたてていたがじんせいのまはんぶんへ途中入場するぜいたくなどもうなくなったとなっとくして身の左右どちらを欠かしてみるかつらつらみばえをはかるうちくうを割るお
【傘】 そこにたつと雨でうるむなかいくにんかが同方向にみえとおいちかいも差がなくなりうしろの樹々との境すら不たしかにすべて星座めいておもえたのでそこにたつといういいかたをそこからたつとおぼえかえながらしずくを吸うじぶんの眼があの者の呼び
【呑川】 あたりということばが地名のおっぽにつくならさらにみしらぬひとがおうらいしだすのだから地名をころすにはあたりひとつがあればいい大田区つつみかたのみかわあたりもっというとそこにかかるむかしの木橋あたりではきえたことをゆるしてくれと
【戦後70年映像】 本日夕刊の北海道新聞に当方の連載コラム「サブカルの海泳ぐ」第18回が載っています。今回串刺しにしたのは、8月10日放映の戦後70年ドラマ『一番列車が走った』(NHK広島)、映画では荒井晴彦監督『この国の空』、塚本晋也監