【みえるのこり】 卯月尽はきれいな灰色がとりわけすきでいぬの風情もまた意中にあるのだからおくまっては臥せているグレイドッグにいろなきはなびらのほそくふきかかるのをおわりのまぶたうすくながめていたがありあるはらわたのひそみをめでるためドッ
【索道】 まなざしたらみえるということはそのひとを手に入れたと同時に迅さをも所有したのだろうかかおの一瞥のたやすさにおののきもっとうごきをもっと錯綜をとめのそこのつなへまじなってみてあさやけでねどこがあかいなかねがえる索道のようにおちて
【気配】 ことばにたまをとられていると奇体なゆめまでみるものでぬかるみをずぶぬく双の脚がやがて悪しになり葦となり鶴を病んでいるとおもうころにはゆるやかに裂をくんぷうがゆきひろがりとみわけないわたくしのほそくまなこだけがえぐられた
【正門からゆくと悲鳴がして】 四月、風のときにはあまりゆれず無風のときこそかすかながらゆれるやなぎは枝の降下というよりもひかりをうらぶれるたわみでしかない皺しわのくうきのあいまへはさみうしろはんぶんまでさらすのだからそのいくぶんかがもう
【台湾新電影時代】 映像引用と、周辺の人間の評言によって語られる、一地域の映画史にまつわるアーカイヴ・ドキュメンタリー、『台湾新電影時代』。作品には不思議な感触があり、それは作品の扱う「台湾ニューシネマ」自体の性格と相即している。 台湾ニ
【さほひめ】 技巧のゆれている頭上がすきだはねぼうしがゆっくりとおよぼしあしもとへ泉下をあふれさせたひきあげてみせる浚渫からはからだのながさがそこだけの瀑布めぐりまでみなさざなみめいてあゆみはくりぬかれるムジカなのかやぶなかでそのものに
【信じられん。どうしよう】 映像の強度にたいして弱いほうなので、TVの地震映像に失語をしいられてしまった。土曜の未明なども枕もとのケータイでヤフーニュースが音を発するので、即座にTVをつけてしまう。しばらくみていると大地震が熊本で「起こり
【ヤクザと憲法】 昨日ようやく話題のドキュメンタリー『ヤクザと憲法』を観た。たしかにおもしろい。暴対法、暴排条例でヤクザたちはシノギどころか基本的人権まで奪われ、疲弊の一途にある。疲弊すると意外に人間的にもみえる。それで彼らの生活のディテ
【長い論文】 すこしまえに「長い詩」(投稿詩の傾向)について書いたが、長さをかんじる論文というものもある。分量的に長大ならそれはそれで立派なのだが、論述効率がひくく、無駄をかんじる論文が、とくにぼくの職場にかかわる院生の、映画関係の論文に
【女ふたり】 本日(4月9日)の北海道新聞夕刊に、ぼくの連載コラム「サブカルの海泳ぐ」が載ります。今回串刺ししたのは、前クールのドラマ『ナオミとカナコ』、まだシアターキノで大ヒット続映中のトッド・ヘインズ監督『キャロル』、それに現在ディノ
【近況4月8日、あるいは註について】 北大大学院文学研究科、映像・表現文化論講座の機関誌「層」のための原稿を仕上げ、いましがた編集長の押野先生に、データ入稿した。題して「映画の犬 ――『ホワイト・ドッグ』『シーヴァス』をめぐって」。サミュ