【花眼】 晩年ってよびかけがおもいみえないものがみえてくると花眼にのぞみをかけられて からだそのもののまどをみましたふるやのつたの壁を背にしてかべがからだのかたちにひらきひとのむこうがのぞけました なんにもこわいことはないひとつあるのは
【福音】 福音のみでなりたつ詩をつむように屋上にゆめみる失明へむかっているのか ゆきふる屋上でとおくたつあのひとのむねのあたりときいろのりぼんがとうとうほどけてゆくのを裸視する もはらわたくし、とうずまくあれらみながけどおい福音 たより
【風紋】 あなたがさったのち残された座面にいくばくか砂の散っていたことはものものしい家財を震撼させた わたしらはものがたらぬためくうきへむかい気弱にかたるがうたがいをよんだあの身ひとつは顚末に似ておそろしくかんじた そらとおく砂が