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日記一覧

鏡人
2015年12月31日10:17

 【鏡人】  月光のしずかににあうひとがそこが野の里程標だというのかあしもとをくらい雪塵にしているちりしくのがくだりゆくこころだとあしうらをぼんやりうかばせてもいる微塵であることのうたに口ずさまれやがては佇つだけのとおさへさだまる 

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連載開始
2015年12月30日09:38

 「現代詩手帖」のこの1月号より、一年間にわたる詩書月評の連載がはじまった。みなさんお手もとのこの号では、「音韻」に着目して、以下の詩集を論じた。稲川方人『形式は反動の階級に属している』、カニエ・ナハ『用意された食卓』、石田瑞穂『耳の笹舟』

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うちがわ
2015年12月29日10:35

 【うちがわ】  ゆきふる日のおわりはいつもあいまいで日をうつりすむ遊客の宵のからだには中間色と好色がともどもしめってそのゆびが灰なるものをかきまぜたもくざいの芯のように生誕の恥はみえ偶合でさえかんぬきをとおすだけのことでぐちがとじられてひ

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接近
2015年12月28日07:15

 【接近】  これ以上の傍はないというところまでちかづけることをいきものへするとすきまじたいがただのくうかんなのにときがひかりをおびてくるようださしだしたてのひらのうえに綿の舞うしずかなおんがくを総身ではこびながらふれずあるいたのはゆきむし

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湯神
2015年12月24日02:48

 【湯神】  せっけんのいまだよわき日はみずのみで身をきよめてきたのかしてみるといちばん湯にも湯いがいがかがやいていただろうあらうあらわれるまぼろしがゆぶねのただなか、きらをなしてりかえるそこは献身湯ともよび名されていたのじゃないか  

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薄刃
2015年12月23日13:53

 【薄刃】  ついにおもい荷をおわないかすかにも破線のあらわれるふさわしいせなかだとおもったそれゆえからだへみえかくれするどうぶつの部位を思想できるしまたがりをもらえればかるさからなみだを汲む桶もまたうごいた位置そのものを置くことはできるか

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均衡
2015年12月21日10:45

 【均衡】  ここではおちるおとはしないしずかだとそこへしるせば詩がしずかになるわけでもないてにをは、などのかたみがことなりながら秤りあいするふるさの均衡をみあげるだけだ北に柿のみのりがないからなかぞらもひとつの無底となりすきま舞う雪のくろ

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襯衣の唄
2015年12月20日07:16

 【襯衣の唄】  くちびるはねじるようにシャツをかみいっぱいつめこんだまましんでゆくあやうくなった息がやがておもむろにひとつきほどで切れるのがよいかげろうのぬまべで荷ぐるまを駐め馬とともにすきとおってゆくのもよいもう草ではなくしずくのみを口

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客分
2015年12月18日10:29

 【客分】  にんげんのつくるあかりはおよそまやかしでよなかの大通をあるいてもあたりなどまっくらだひかるものならにくたいでしかもそれらは幽明のさかいにあってのみ微光をはなちそのときはだがひだをのばすように狎れるゆきのはずれのひとを他者とよん

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ダム
2015年12月17日08:13

 【ダム】  ふもとよりみあげるとダムが築城にみえてさみしい治山が治水になったいびつたくみがひらきあっておらずみずもおのれをながれていないうすいえぼしをかさねかぶるふるときのとおさならいいのに 

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半分
2015年12月16日14:46

 【半分】  イヌであるはずかしさがそのひとみをうるませているときじっとみつめてやればよいたよりないいっぴきのうちに種族のはんぶんがひしめいていてみつめることはこちらあちらのわけめをためいきするに似るはんぶんのさかいをぬいながらいのちをこと

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三角みづ紀さんが
2015年12月15日07:41

 三角みづ紀さんが共同通信の詩集月評、その担当最終回で、ぼくの思潮社オンデマンド『束』をとりあげてくれた。きのうの北海道新聞夕刊で知った。内容引用のないのがいささか残念だが、10月の詩集刊行ラッシュからピックアップしてくれただけで感謝です。

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まがる
2015年12月14日08:37

 【まがる】  ゆがんでいるものがいつもあかるいあいされるときしろくほそくあるおんなのそりみめいたとがりはぬけてゆく冬木の枝えだにもみえてああこの世はきえようとするせんたんであかるいまでにおのれをふやしているまっすぐな省略をゆがみはいなみな

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分銅
2015年12月13日17:31

 【分銅】  さっぽろへくるときがらくたといっしょにふれっと音痴のぎたーをすててはきたがないぎたーをいまもつまびくことがあってはじきだす二音へと声をのせるうたいかたがつぎつぎにものごとをはかる天秤のようにときの蕩尽をゆるやかにおさめるのだは

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2015年の笑い
2015年12月12日10:21

 本日の「北海道新聞」夕刊に、ぼくの連載「サブカルの海泳ぐ」が載ります。今回、串刺しにしたのは、又吉直樹『火花』、10月放映の「キングオブコント」、そして先ごろの「M−1グランプリ」。はい、今年のお笑い界の総括という気色でした。 コラムに書

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ロンド
2015年12月11日05:44

 【ロンド】  ゆきがいっときやんでそらがひらけわずかにも落葉の舞がよみがえったので日に透かされる落下それぞれの遅速を眼にとおいものとしてみつめあげていたまわりからはなれたひともとのいちょうはたしかになにかをつらぬかれていたんでおりあふれる

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声の鳥
2015年12月10日06:51

 【声の鳥】  しずかにうきしずむ声をもっているしぐさをつかいホノカのまことをかくすその声は大小ではなく遠近をかえてこころのまなかではなくへりをつかむしみずのまぢかを上下してなみもかたどりするなにかの鋳型かとおもいまえから圧をかけるともんし

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「層」8号
2015年12月09日06:41

 とうとう、ぼくの所属する北大、映像・表現文化論講座の機関誌「層」の8号が発売となりました。ぼくはそこに、90枚の長稿「『私の男』と結晶イメージ」を寄せています。2014年公開の熊切和嘉監督、二階堂ふみ、浅野忠信主演『私の男』に、ドゥルーズ『シネ

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べつのルドン
2015年12月08日01:55

 【べつのルドン】  あかるいほうへ、がまぶたのうらにみちるやっとした瞑目のふちのしずくとともにあるおもいがひとつの破船をかたちするふゆのまもみるめはまかれてひかりがこぼしたおとのようにあらなみからはこばれてくるみることのいきつぎのあいだで

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消界
2015年12月05日16:56

 【消界】  とおくゆくゆったりしたうごきがきんいろをはなちうつくしいのならうつりすべるかげにはその起点がつかまえられてならないだろう中途だけがあるとおもいきることがふれあわぬそらとかぜをたわませとおさのうちへときえる雅量をこがれいるときの

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朝湯
2015年12月04日12:04

 【朝湯】  じぶんがふたりになるときはそのかたほうがおもくはりかわききった流木をかかえるすがたのまんじなどあるものだあさぶろにいれば朝のなかへいて双のひととくゆうの科をするあらうなみとあらわれるいそべふたり以下ひとり以上のあわいでゆあみゆ

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雨世
2015年12月03日10:30

 【雨世】  そらからはあめがたちかえりゆきがいきかえってぬれつくすおもうかおがやわらかくかたむきほとりのくさをみにゆくによいよわいまなざしの縦長な日だみわたせるかこいとおなじあめの筒のなかでかんがえるふるあめのゆるんだひろがりをくりかえす

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アンケート全長版
2015年12月01日08:04

 「詩手帖」今号(年鑑号)のアンケートについては、最初、依頼文中の「800字」以内という文言を見落とし、フリーハンド(それでもなるだけ短く)で書いてしまった。編集部にミスを指摘され、あわてて800字に短縮し、送りなおした。だから全長版と短縮

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