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日記一覧

メモ83
2018年05月31日04:59

 83 汁椀にうかべれば煮凝りとおなじくたべものよりはむしろすきまとなってみなもの泛びまであらわすのだからぬなわはくちもとの晩春めいてうごきねむたい七飯の蓴菜沼のふかみへとまどう舌をきよらにオキナさせる 

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メモ82
2018年05月30日05:51

 82 まどひとつない部屋ではとびらだけがそこでの顔とおもえることがあるはいると出るとがおなじになるためにふた部屋つづきが要るという軛もやがて背後と前方のちがいをうばい手燭をけすまえにあるきがきえている 

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メモ81
2018年05月29日03:59

 81 さついれにうすいゆびをさしいれふとしもおぼえたカネのつめたさをそのままらいらっくにふれる手のおもいあふれへと両替してゆくのだしろからむらさきにわたる過密はありふれながら手のこぼす雨をまつ 

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メモ80
2018年05月28日00:29

 80 伝わるだけの声としてあなたは響いた五体の分離をおびそれはくもるがすみわたった窓ぎわでコロナとなり行住坐臥のたびごとおどろかせながらとどくことの内がわをかたちさせた 

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メモ79
2018年05月26日13:36

 79 おなじこともことなることもてざわりのあるゆうれいをからだへまねけばともにあるいのり病にて俯いたのちはすがたかたちへおのれを吊るおなじことなりをやさしむべく 

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メモ78
2018年05月25日07:33

 78 椀にしろくいれたのはなんの汁かこの世の灰汁のようにもおぼえたがえきたいはつぼにわを逆立させのむことをかわいた風としたのでひといきごとに肺葉もいれかわって光陰のつづきゆく虎次元がみえた 

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メモ77
2018年05月23日11:59

 77 彗星をみた、擦過するだけの速さをみたおちてゆくほのおはあおい瓦斯となりにくたいが肉体以外でできていることを天体的離魂ですばやくしるしていったまんてんをあおぐ天秤衡りのまなざしもあなとかわらぬ不透過をおびるまでに 

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メモ76
2018年05月22日02:58

 76 ピサならぬ地にもさみしい塔をたて千年余をへてそれをたおしにくるゆるやかななりのおおきひとがいるキュクロペスすもものなれのはてさまよう隻眼はまことのひとつなのか斜塔をみおろすあしたこそあからむ 

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メモ75
2018年05月21日08:32

 75 みぎてもておのがひだりめをふさげないうですら身に交叉できぬけいれつのひとは左右の半身のつなぎをひからせるのだがおわりのほうから婚姻色がくらくおよぶとはだへのほのおのペーストこそがヨブで写ることで身もけいれつもためされている 

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メモ74
2018年05月20日11:32

 74 おりたった杖者のまなざしはながくそこからのひものようにしなってとおくとおくのこずえをつかまえるむかうすがたから造形をはかりやがてはこの星めいてくびをふるよき髪よき耳のわずかにながれるや身めぐりもゆえなく浮かみきえる 

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 【高橋洋脚本・監督『霊的ボルシェヴィキ』】 作品は「恐怖」を目指しているはずなのに、「何かにふれてしまった」体験を、人物たちがパイプ椅子を円陣にして百物語形式で語りあうその画面は、当初、建物内にふりそそぐ燦燦とした陽光により、怪訝となるほ

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消化器
2018年05月18日08:24

 【消化器】 敬愛する伊藤悠子さんから、第一詩集『道を 小道を』(ふらんす堂、1997)がとどいた。ぼくが詩をおおやけに書きだしたのは1997年ごろだから、まだ当時新人だった伊藤さんとのやりとりはなく、伊藤さんの第一詩集も未入手で、ご送付がたいへん

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メモ73
2018年05月18日07:16

 73 蹄鉄をうちつけるとき厩のおとこがまけたように跪くのがうつくしい肢からさかのぼる土星の積荷なのでうまのそうみはいよいよあいだとなり星のほのおとして野をめぐるだろうおもいあまりひづめにくちづけるのもくち、サチュルヌの環の移しなのか 

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メモ72
2018年05月17日07:07

 72 たてもののなりあわざるひびをしずかな指列でなでているとてんまどのみそらがほどかれてななめへと内通する空洞から放縦がみあげられるとおもった 

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メモ71
2018年05月16日00:58

 71 なりあまりながらどの愛だかしらずにとどこおってゆくことをゆるしたが樹上と樹下がともどもしろくあるころ身のすくない影を汲む前屈みによりわきあがる風の発端を傍目へおくった 

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メモ70
2018年05月14日09:21

 70 ふたばしらの天使でみがわりを知りうちのなかばにはなまえすらなく酔う父親へしろい暴挙をあえてしてはまなすのようにひくく砂地へとふたりと非ふたりがひろがっていったかぞえればよたりのロトのむすめののちをしるす草はないのだろうか 

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メモ69
2018年05月12日12:33

 69 マグダレナをマリアとおもうのはその携香の旅のかなしさゆえだひとの遅霜に香油をぬりあげたときユリ復活ならみとどけられていてすでにもやがてもあいひとしくなるときのちいささへみずから屈した 

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メモ68
2018年05月11日09:59

 68 さばくまえにうろこを殺ぎおとせばはだかとなった魚がより泣いてみえてありえないしろたえになるまでをねがうこころゆれがほろびへむかういっときこれをしも、つくろいのみわざかと 

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メモ67
2018年05月10日07:56

 67 さかいめにほんとうの国があるとなみうちぎわをみておもうのだよせかえしては、すきまをしぼりあいだにいきる水霊のひとらをほそくすきとおるようみがきあげたまと柱のみだれてくつがえるしおどきのけしきがうごいている 

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是枝裕和・万引き家族
2018年05月09日13:31

 【是枝裕和原案・脚本・監督・編集『万引き家族』】 現在、カンヌ国際映画祭のコンペ部門に正式出品されている、是枝裕和による原案・脚本・監督・編集の映画を昨夜観た。『万引き家族』。「万引き」と「家族」に二分できるタイトルだが、それぞれをおもい

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メモ66
2018年05月09日08:04

 66 しごく天国的、という形容をものわびしさにもちいるひとは雲海にも似て一定の丈のある花野のじゅうたんをゆきかってかくれて脚もないといいたげだがえびあしをうきあがらせながら移るだけだし移らないだけだ 

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メモ65
2018年05月07日03:32

 65 えるむのしたで顎をかくしするどい一音つづきによってはもにかをならすおとこは幾本かのへびの舌でたくみにあなをふさいでいるはずでミューズにミュートで応える列のすくなさの経木ながし 

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メモ64
2018年05月05日14:18

 64 つかれを負うべく背をあざやかにそめ朱をふくむ風に髪を洗われきた身がつづいて自転車をとめかけた一位のもと西へふりかえり笏になってゆくのをなにか悼むようにみおろしえたのにはみいることの弥縫もかかわっていた 

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メモ63
2018年05月04日07:18

 63 あいしてしまえば在ることさえ霧となるゔぁんぴーるにあるのはそんなためらいで咎のくるすなら人血にもかたちしているふたえのしめりけそのあかるさがまぶしくとおさをすすりつくすためちかくへゆくゆめごこちでものの化野に牙をさしいれる 

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メモ62
2018年05月03日10:43

 62 きまった木立をきまった順にぬけてその家へとたどりつくのをことばのようさらには連辞のようだとかんじていたあえばかたることも順番になるとおそれ道なかばの春もみじで鏡をあやつるとすくなくともいろだけは内外へみなぎりこころの扇を火にくぐらせた

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メモ61
2018年05月02日06:22

 61 杖にてあるくよろめくからだの銀をもとめるうごきのやさしさが杖そのものすらみえなくさせた樹下にゆき背後へともたれつくしその背後までおもいあまり杖とよぶ余念と余年のまざりあうしくじりあらわれるなかだちもときに息杖だ 

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