『孤狼の血level2』、映画で聖なる「怪物」と出逢いたいなら絶対に劇場に行くべき。鈴木亮平のことだ。行動に躊躇なく、残酷で変態で、恐怖を心底喚起する。『TokyoMER』の全能性とは全然違う。もみあげを欠如させた異形な髪型で、耳が尖って不気味。背
【梵字】 用賀屋という看板をかかげていたが用事屋ではないので客につかえずへんなふうにからだをおりまげていた 店名は出身地がほそい由来だろうかうでのすきまからみえるおくにはおどりだす梵字のけはいあってとおるひとがたちどまりたくなった 香木
※以下の文は、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』をご覧になった方のみお読み下さい。もちろん肝腎な箇所はネタバレ回避してはいます。 ● 濱口竜介が映画脚本を確定するにあたり、出演者へのリハーサル(エチュード)を繰り返し、科白の「言えなさ
【繃帯】 外階段できれいというならなりではなくうごきのせいだ らせんがすき、昇降機がきらいよるはしめりながらまわるとうえへうつりゆくからだがつげる 階上へいたる二、三まえの段でとどまっているヒールもみあげたさきをのぞむならすでにというじ
瀬々敬久の新作『護られなかった者たちへ』は連続殺人事件の犯人を追う、意外性を孕んだ刑事ドラマだが、内実は仙台を舞台に、東日本大震災の惨禍と、「生活保護」の問題をからめた悲劇のアマルガムだった。主要人物たちは辛い過去によって、現在の困難のグ
【後遺】 がらすびんからひかりをぬきなかみのからっぽをくろくするいとなみをまどべでしていた 手にもつものが真のうつろだとしめすにこしたことはないがもち手をまえへかかげると優雅をうたがわれてしまうので びんのかずかずは丈ちがいのままその日
【逮夜】 神の蚊帳のいらぬ土地なのでひとはよるにかすみもせずねむれずのながい輾転があみめになることさえない あみめならよるの海面下へおりぴたぴたおどりよせくるう烏賊のにごりをあげるはずだが だれの忌日かつたわらぬままもっぱら逮夜のきえつ