城定秀夫は本当にすごい。まだ日本映画専門チャンネルに加入して日が浅いが、オンエアされる城定監督のピンク映画のどれもが粒揃いで、日々讃嘆の念がつよくなる。今日の未明はクロックワークスが製作した(つまり非ピンクの)クライムエロチックムービー『
ポーランド国立映画学校出身の石川慶監督による貫井徳郎原作の映画化『愚行録』(2017)は、石川慶という国際派監督の誕生を告げる画期的な作品だった。同じくポーランド国立映画学校の出身カメラマン、ピオトル・ニエミイスキの捉える、殺伐とした分譲地
おそるべき「2021年3月 早稲田大学卒業予定」だ。インカレポエトリのひとり、赤司琴梨さんが第一詩集『個室』(七月堂)をまとめた。身体異変や排泄などに伴う不気味なイメージはみな孤独に軋んでいる。改行系の詩篇では、理路の狂いや文脈の切断もあっ
映画化不能といわれた恩田陸のベストセラー同題小説を新鋭・石川慶が監督した(脚本と編集も)『蜜蜂と遠雷』(2019)は、幾何学的とも形容できる緻密な構成と単位加算で一面、冷徹さを誇りながら、語らない人物たちの言外からゆたかな情感があふれだす。シ
普遍的な同齢学生男女の出会いを描けば恋愛映画だし、別れを描けばそれも恋愛映画となる。ところが出会いと別れ双方を等分に精密に描くとそれは、運命論映画、時間論映画となる。ふだんあまり意識しなかったそんな真理を土井裕泰監督『花束みたいな恋をした』