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2024年09月10日22:14

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きみの色、という映画のレビューが文字制限喰らったので日記に書き残す

映画館で見て来たのでネタバレ有りの感想を書く。
監督の山田尚子は「映画聲の形」以来のファンであり彼女の新作なので楽しみに見に行った。「映画聲の形」を初めて見た時は衝撃的だった。原作の漫画がとても優れている。監督も誠実に丁寧に映画化していた。見てない人は是非みよう!
この映画の予告編を映画館で見ていてバンドものかな?というぐらいの事前知識だった。
なお山田監督の映画では「たまこまーけっと」以来のオリジナル映画となる

ネタバレ有りの感想は次のとおり。
この映画の主人公の女の子は音を聞くと色が見えるということを話す
これは、実際にそのように見える人がいて、メシアンという作曲家がそうだ
それを「共感覚」と呼ぶ
https://yomikyo.or.jp/pdf/book/orchestra-201705-02.pdf
http://noctuelle.en-grey.com/Entry/85/
そして、この映画に出てくる男の子は彼女たちとバンドを組むのだがその彼の演奏する楽器はテルミンですよ!
メシアンときて、テルミンときたら、「トゥランガリラ交響曲」ですよ
テルミンという人がテルミンという楽器を開発して、それを改良したのがオンドマルトノという電子楽器で、トゥランガリラ交響曲で使用されてるのだ
自分の遠い記憶が正しければクラシック音楽のシンフォニーで電子楽器を導入した初めての曲のはず
偶然の一致なのだろうか

そしてこの映画の主要な舞台の一つがキリスト教系の学校で先生であり修道女ができますね
メシアンときてキリスト教といえばアッシジの聖フランチェスコというオペラですよ
それに限らずキリスト教の信仰をテーマとした曲をメシアンは複数作曲してる
いつかDVDを見つけたら見たいなと思っているのだけど、アッシジの聖フランチェスコはキリスト教の有名な信徒だ
https://w.wiki/3Qsj
https://w.wiki/B9UQ

ということで、クラシック好きの自分には、えっ?えっ?と引っ掛かりしかない映画でビックリ。でも演奏される曲はクラシックではなくてバンド音楽だ。ロック?ポップス?分野は自分には疎くてよくわからない。この映画の山場は学校祭でのバンドの演奏だ。山田尚子監督はThe Whoというバンドが好きだというのはどこかのインタビューで見た記憶がある。なので予告編も相まってバンド音楽の話かと思ったらまさかのメシアン要素でビビりますわ。これ全部偶然なのかなあ?
とはいえ、映画の内容としてはキリスト教の信仰の話でもなければ神秘体験の話でもないのだけど

映画の内容に関してだけど、ストーリーの山場は前述の通りライブで、その前段としてきみとルイが両親に大事な話をするところがある。彼、彼女には困難として映画では描かれているのだけど、自分にはそんなに話しづらいことなのか腑に落ちなかった。自分が勝手に高校を中退したこと、自分が本当は音楽をやりたいことを保護者に話をすること、いずれも物語の装置としての困難であり現実味があまりない。保護者の同意もなく退学を勝手にできるわけがない。もしかしたら監督、脚本家は困難さにリアリティを求めてはなく、それを乗り越えること自体を描きたいのかなと考えた。

邪推なのかもしれない。もし監督にこのことを聞いても考えすぎだとしか言われないのかもしれないが山田監督は京アニ放火事件で受けたショックとその回復をこのような抽象的な曖昧な形で描いたのかなと想像してしまう。自分は山田監督を熱心に追いかけるほどのファンではないのだが、なぜ彼女がフリーランスになって京アニからサイエンスSARUへ仕事の場を移したのか見聞きしたことがない(自分がたまたま見逃していただけかもしれないが)。あのような事件の後で平穏な気持ちで京都で創作活動ができなくなり場所を移したという仮定は無理のない考えだと思う。映画で話されるセリフで今までの彼女の映画にはなかった人生の意味などの思索的なセリフもそれを感じさせる。

もし前述の想像が正しく山田監督が創作者として活動をずっと続けていくのであれば、いずれ京アニの事件、理不尽極まりない暴力とその回復を描くことになると思う。彼女がこのことについて整理できていない、もしくは言語化できていなくても無理のないことだとは思う。でも創作者であれば自分の内面に潜り込んでそこから何かを表に引き摺り出さなければならない。それが創作者の仕事であり習性だ。そうして作られた映画は多分傑作になるだろう。創作とは血まみれになってやるものなのだ。
映画監督の仕事は一度やってしまうとやめられない仕事らしい。宮崎駿を見るといつもやめる辞める言っていて本当に辞めてもまた復帰してしまう。魅力的な仕事なのだ。庵野秀明の裸踊りではないが、いつかはわからないがそれを見る時が来るのだと思う。自分が死んだ後のことになるかもしれないけれど。

あとバレーのシーンもなかなか良かった。モーションキャプチャーですかね?幼児の頃のバレーのシーンの丸い幼児体型の柔らかい感じがとてもよく出てたし、最後ジゼル?の踊りも良かった。花の咲き乱れている学校の玄関の前のダンスはよく描けていたと思う。絵が動くことの感動、楽しさはこの前見た「ルックバック」の走るシーンを思い出させたし、日本映画でバレーのシーンといえば岩井俊二の「花とアリス」の蒼井優を思い出させる

見ていて面白かった。もしかしたら彼女の転換点になる映画かもしれない。

トゥーランガリラ交響曲


水金地火木土天アーメン


花とアリス


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