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2023年12月11日23:15

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マエストロ:その音楽と愛とという映画の感想を書く

レビューで字数制限を喰らったので日記に感想を書く

映画館で見てきたのでネタバレ有りの感想を書く。
自分はレナードバーンスタインの大ファンだ。
コロナの前ぐらいだったと思うが彼の映画を二つ作る報道を見たのだが、コロナのこともあり立ち消えになっていたんだろうなと思っていた。そうしたらネットフリックスで制作するとニュースで見た。そうかあネットフリックスに入ってみようかなあと思っていたら映画館がかかることがわかった。それで是非ともと見ることにした。
前述の通り、指揮者・作曲家であるレナード・バーンスタインとフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩いた生涯を振り返る、という映画。

ネタバレ有りの感想は次のとおりだが、まあ伝記映画なのでネタバレはあまり関係ないのかもしれない。
前述の通りレナードバーンスタインは指揮者であり作曲者でもあったのだが彼は映画でもあるとおり若い音楽家を育てる教育者でもあり自分でピアノの演奏もできる演奏家でもあった。劇中でも話は出ているが音楽家という言葉がぴったりだ。そのどの活動も超一流のレベルでできるまさに大天才だ。彼はアメリカで教育された最初の世界的音楽家であり、それまではヨーロッパから移民してきた人がアメリカの音楽界で音楽活動をしていた。劇中では触れられてないがニューヨークフィルの音楽監督の最中オケの宣伝のためにクイズ番組に出たり音楽番組を作ったり多彩の活動をしていた。何を言いたいかというとアメリカ人にとって彼はただの音楽家の枠を超えた有名人でアメリカ人は彼のことが大好き(という表現がふさわしくはないだろうが)なのだ。だからわざわざスピルバーグやスコセッシュが彼の映画を作るのにプロデューサーに加わるわけ。彼のような偉大な人間を映画化するのはアメリカ人の責務だぐらいに思ってのことだろう。アメリカ人にとってのバーンスタインは日本人にとっての秀吉とか家康とかと同じなのだ(例え変だなww)。

監督ブラッドリークーパーの意図は公式ホームページにある通り彼の人生から夫婦のことを特にフォーカスしたかったとのことだ。だから彼が全世界のオーケストラを飛び回ったり作曲家として喝采を受けたり指揮者として楽団員に崇拝されたりする様子はあまり映さない。最初にこの夫婦が背中をくっつけて芝生の上木のそばで語り合ったりするシーンから始まる。あとはニューヨークフィルハーモニックの音楽監督になりミサ曲の公演でマスコミに囲まれと活躍する描写がある。最初の白黒のシーンは美しい過去のシーンでカラーの部分から軋轢が描かれる。若い男とイチャイチャするシーンが出てきて夫婦の間に隙間風が吹く。

「バーンスタインの生涯」という伝記がハンフリーバートンによって書かれていてこの本が彼の生涯の最も詳しい本だ。この映画を見て、あれ?こんなことあったっけ?見たいのはこの本を参照して解決できる。映画ではショスタコービッチの交響曲14番の木曜日のプローべで観客に向かって演説してたが、その伝記見たらちゃんと載ってる。自分はバーンスタインが髭面になった時は奥さんが死んだ後だと勘違いしてたのだがこの映画ではきちんと奥さんと喧嘩している時のものだと描写されてた。映画では直接的な描写はなかったと記憶しているがこの髭面の時には彼は一時的にフェシリアモンテアレグレと別居してる。離婚の危機を迎えたこの夫婦はしかし元に戻るのだがその後奥さんは乳がんになりレニーは看病をすることになる。夫婦喧嘩のシーンは2階の窓ガラスからお祭りの山車が映り込み、その影がレニーを包み込む。二人の深い溝は有名だ。「あなたはね、たった一人で老いさばらえて哀れな最期を迎えることになるわ」と奥さんに罵られたのは前述の伝記にもある。

映画では夫婦の仲直りにマーラーの二番の演奏シーンを入れてたと記憶しているが夫婦の別居の危機の時と実際にイギリスで彼があの演奏を撮影した時期は実際は違う。違うと言えば夫婦喧嘩のセリフとか、指揮科の学生へのアドバイスとか、どこまでが脚本家の仕事でどこまでが現実に言ったことなのかはとても興味ある。全部が全部事実のみで作ってるわけではないとは思う。

映画では奥さんが亡くなって引っ越しをした後指揮科の男の子といちゃいちゃするのだがそれに限らず、奥さんと一時的な別居の原因は彼氏と同居したいからだし、奥さんが亡くなった後も若い男の子と出来ている。映画で語られてる通り本当に奥さんを愛してもいて、いわゆる両刀だ。前述の伝記ではレニーと付き合った男の名前は何人も出てくる。本当に男も女も好きで愛することのできる人間なのだ(理解できるかどうかは別にして)。

今はセクハラが問題になる時代だがおそらくレニーは圧倒的地位を利用して人事を歪めたとかレイプしたとかはなかっただろうと思う。少なくても未成年を無理やり犯すとかは聞かない。クラシック音楽の世界でもシャルルデュトワやジェイムスレバインのような話はあるが、レニーの場合は本気で恋愛してたんだと思う。先ほどの伝記でレニーの恋愛相手がどんな人なのか描写があるのだがみんなちゃんとした成人だ。性の捌け口にしたわけではない。ただ映画の描写の中で若い指揮科の男の子とディスコで抱き合い踊り狂ってるのはセクハラの暗喩のように見える。もしかしたらそのような犯罪的事実があったのかもしれない。

映画評論家の町山智浩がター_tarという映画と表裏となっている映画だというのはこういう観点の話だ。そして若い指揮者にベタベタするのはグルーミングだと言う。ターの女指揮者をレニーとダブらせるのはちょっと自分には違和感がある。ターの女指揮者は権威的で偉そうだ。彼女はベルリンフィルの主席指揮者だがレニーはニューヨークフィルの主席指揮者を辞めてから音楽監督などのポストを得ていない。客演指揮者として世界中を飛び回っていた。自分の地位に汲々として幻覚まで見てしまう人間ではない。ターの彼女はどちらかというかカラヤンぽく見える。

本当か嘘か知らないが自分が雑誌などで見たレニーの強烈な話をせっかくだから書いておく。多分奥さんが亡くなったあともっとひどくなったのだと思うがキス魔で特に好みの若い男の子をパーティで見つけるとブチューってディープキスをかますのだそうだ。だから周りの知り合いは逃げろ逃げろと声をかけていたのだそうだ。あとWikipediaにも書いてあるが一日五箱のタバコとウィスキー一本を毎日のノルマにしていて若い頃肺気腫になってもタバコはやめられなかったのだそうだ。パーティが大好きで毎日自分を慕ってくる指揮者志望音楽家志望の連中とどんちゃん騒ぎをする。ヨーロッパでオーケストラの人たちを自分のホテルの部屋にパーティに誘うのだがそれが毎日でだんだん人が来なくなるのだ。結局それに付き合える若い連中で騒いでるとのことだ。だから若い指揮者志望の男の子とディスコに行くあの絵はないんじゃないかなあって思うね。ウィスキー一本がノルマなので酒を飲んで指揮をしてるとか噂を流されて、彼は仕事ではそんなことをしないと否定をしている。彼の指揮をしている動画や曲の解説動画を見たら酔っ払ってそんなことできるわけないのはわかると思うのだけど。自分も一人暮らしなこともあるので土日仕事がない時は朝から飲んでるのでそれを責めるのはやめてほしい。映画の中で奥さんに鬱云々攻め立てられていたが思い込みが強そうなのは芸術家っぽいなとも思う。これも本当か嘘か知らないけれどヨーロッパで演奏会があるのにもかかわらずソ連から核ミサイルが撃ち込まれるかもと布団をかぶって震えていて演奏会に出てもらうのに大変だったとのことだ。

本当か嘘かは知らないがこんな強烈な個性の持ち主なのだ。奥さんを心の底から愛しているが男を見るとそっちに気を持って行かれてしまう。一人でくたばれと奥さんに罵られると本気で後悔して奥さんの元に戻ってゆく。作曲ばかりやっていたら演奏会に出たくなり、演奏会が忙しすぎると作曲をしなければと、あっちにゆきこっちにゆき。欲望に引き裂かれて留まることを知らない。大いなる矛盾をはらんだ男だった。そしてその男の作った音楽はウェストサイドストーリーを引き合いに出すまでもなく世界中に愛されている。劇中踊る大ニューヨーク、波止場、キャンディードのメイクアワガーデングロー、ミサ曲引用されていて素晴らしい。彼の本当の魅力は作り出した音楽と演奏にある。映画はそれらを引用して自分を刺激してくれるのだが、大多数の日本人はそこまで彼の曲を知らないだろう。自分はおおおおおおお、ととても楽しく見たのだけど、彼の書いた音楽、彼の演奏に魅了されたことのない人が見たら、どうかなと思う。人を選ぶ映画だ。ブラッドリークーパーの横顔がとても彼に似ててうぉぉぉぉぉって思った。似てるしかも歳をとった時のレニーの声も似てる。すげえ。でも最後札幌でやったPMFでのレニーの指揮シーンが出てくると、本物の方がやっぱりいいなと思ったwww名優も本人には勝てません。

追記
マエストロという題名はよくないと思うね。レニーはマエストロバーンスタインと呼ばれたらレニーと呼んでくれと気さくに答えていたんだ。まあ、それでパーティで飲んだくれてベロチューするんだろうがwwww
あとアムネスティインターナショナルの活動に協力的でバーンスタインがベルリンでマーラーの9番を指揮したのはアムネスティの依頼だったからだ
その演奏は死後CDになってジャケットはターでも映し出された
人道支援にも彼は熱心だったんだ

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