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日記一覧

入沢康夫先生の思い出
2018年11月30日14:07

詩人・仏文学者の入沢康夫が86歳で亡くなる。もう半月まえのこととのこと。入沢さんはわたしが学部のとき、仏語中級の講師であった。朝7時からのクラスでただでさえ僅かな学生の集まりはわるかった。クラスで使用していたテープ教材のダビングを申し出ると

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(5)読んだのはスペイン語版のみ。ポール・ゴーギャンとその祖母社会運動家フローラ・トリスタンを描いたもの。それまでバルガス=リョサはラテンアメリカのなかのことだけを語ってきて、今回は初めてヨーロッパに触れたのか、という感慨をわたしは発刊のと

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(4)ゴーギャンの母親、それに祖母のフローラ・トリスタンはおなじく四十一歳で亡くなっている。どちらも苦しみと辛さに塗り込められた一生であった。しかしフローラこそはヨーロッパ思想史上にも残るような闘士であり、資本主義の初期における労働者の虐げ

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(3)パリの喧騒と倦怠とに辟易してゴーギャンはヨーロッパ脱出を試みる。それにもかかわらず多くの画家はパリを愛し、棲みつづけたのだが。それとは別にすでにボードレールは、散文詩『この世の外へなら何所へでも』を発表していた。それは脱出願望を批判・

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(2)不可避的にゴーギャンはゴッホと比べられてしまう。比べるられる前に、すでにゴッホ・聖なる愚者、ゴーギャン・自分勝手な日和見主義者、というような色眼鏡をわたしたちはかけているのではないだろうか。あるいはわたしたちはゴーギャンに弁舌の機会を

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まともな質の映画の宣伝
2018年11月24日14:15

 市内にて、まともな映画の宣伝なんて見ようったって見られない時代になっているが、メキシコの巨匠監督アルフォンフォ・キュアロンの「ローマ区」はヴェネチア映画祭井で賞をとり、話題が沸騰。そういうわけでか、まったくめずらしいことに市内のあちこちに

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(1)ゴーギャンはブルジョア・アーティストであり、日曜画家であった。つまりはヨーロッパの中心で資本主義を担っていたのが、何をまちがったか、たまたま画家という道にすすんでしまった。そんな思いがわたしには強い。詳細に見ていくならば、後期印象派た

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 国際交流基金の主催で、ソカロの裏の「諸文化博物館」にて、東京の前と後、という写真展あり。七人ぐらいの写真家の作品が選ばれているが、どうにもカオス的。注目したのは、キュレーターが飯沢耕太郎であったということ。この展示のためにわざわざメキシコ

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 遥か以前には結核の病が死の宣告を意味したように、ある時期までは癌を知らされることはひとえに怖ろしいものであった(いまでは癌治癒は産業にまで成り果てたようだが)。 癌の病棟へと担ぎ込まれるということは、すなわち死と向きあうことを意味したはず

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ベラ・チャスラフスカ
2018年11月18日14:00

 突然の出会い。 ニホンの写真展が催されているということで、諸文化博物館へと脚を伸ばす。 すると目の前に現れたのは、ベラ・チャスラフスカ。 そう、ベラ・チャスラフスカの展示であった。 東京とメキシコのオリンピックにて体操の女王を演じる。 ニ

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 世界はカタストロフィーを被り、すべては変わり果てる。 それでも人類は存続していこうという前提のまえにおおくの価値観が一変。 命の存続こそ最高の価値を占める。 しかしそんな社会は、いわゆるディストピアであるらしい。 生きる意味を問うことなく

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彼方から
2018年11月10日14:56

 長年、苦労していたがようやくインスタグラムにアップできるようになった。 すると外国人のある女の人からのメッセージが届くようになった。 なんとリビアのカダフィ大佐の娘だと名乗っている。 ふむ、どういうことなんだか。 もちろんネットのことだか

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悲劇の組み合わせ
2018年11月10日14:09

 メキシコには何でもある、とかいう言い方は、陳腐であり、かつわざとらしく響くのであまり好きではないのだが、かくいうわたしがそういうことをしばしば口にして煽り立てているような気がする。 昨日のことだったか、国会の審議中、女性議員が突然、悲鳴を

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健康がある社会
2018年11月08日13:32

 健康であれかし。よりラディカルには、健康は万民の義務である、とか。 そんなイデオロギーで包まれたディストピア社会が伊藤計劃『ハーモニー』で描かれるが、それはすでにザミャーチンが考えたことでもあった。 複数の作品を同時に読んでいると、微妙に

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 家庭菜園って、ちょっとでもいいものをこしらえたがるのが人の常であるが、そんなにこだわることもなく、植木鉢さえいらずに、ただの缶、あるいはビニール袋でさえできてしまいそう。知り合いの家庭菜園。これだけのものをきちんと畑に植えたら、かなりのス

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 上海というのはただでさえ混沌とした都市であるはずだが、それが租界ともなれば、わたしの生半可な知識で追いついていくのは難儀。 表向きは租界ということで、ある程度は守られていることになっているだろうが、相手がニホン軍とあっては、一歩先は闇、さ

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