この作品へ近づくべく、シベリウスを聴く。 初めて聴いたのは渋谷公会堂にてでヴァイオリン協奏曲だったと覚えている。 この作品はちょうど半世紀前のもの、あの頃はただ暗ければ意味がある、と思われていた時代ではなかっただろうか。 冒頭から重苦しい
福永武彦の「死の島」を読み出す。読んでいるのは文藝文庫版ではなく河出書房新社の初版の単行本。ちょうど半世紀前の作品ということで遅まきながら戦後派に該当するといってもよいのではないだろうか。つまりイメージに振り回されているようなナラティヴだ
イギリスという階級社会にあって強靱な意志力にめぐまれた著者は、社会に異を唱えるひとたちをめぐって広範な研究を著わした。ときは1956年で、レビ・ストロースによって実存哲学に懐疑が投げかけられる直前。では現在での有効性はいかなるものか。とこ
(ミニフィクション29) 湖を見たことがあるか訊いてごらん。もちろんさ。うちのいなかの真ん中にあったんだけど、なんといってもやたらとでかい湖だったな。海のような湖といってもすぐにはぴんとこないだろうね。岸辺には何艘かボートがあるんだけど、漕
当地での健康保険の所轄クリニックの変更があるということで、先日、新しいクリニックへと顔を出した。現在の医学は検査重視というか偏重であることは誰もが存じている。たとえば触診の軽視(これにはプライバシーの問題もあるのかも)。ニホンの医者におなか
ミラン・クンデラはもう九十二歳、今週はハルキももらったカフカ賞の授与式があったものの、長いことパリに住んでいるクンデラは駐フランス・チェコ大使館に出向かなかった。今ではクンデラと祖国たるチェコは和解しているとわたしたちは了解。しかしながら実
沙漠のどこかにはいずみがある。 サボテンはといえば、どこもかしこも棘ばかりだが、秘跡のように花を隠し持つ。 サボテンを信じることをやめてはいけない。 サボテンの根元には希望と未来の芽が息づいている。 棘はぼくらの血に飢(かつ)えているが、
メキシコでは本日、一日だけで、八十一万六千三百八十分のコロナワクチンを接種、今までのなかで最大という話。十月までには18歳以上はすべてワクチン接種されるだろう、という話。すごいね。官民一体というところだものね。接種会場もお祭り気分、さあて、