(4)ゴーギャンの母親、それに祖母のフローラ・トリスタンはおなじく四十一歳で亡くなっている。どちらも苦しみと辛さに塗り込められた一生であった。しかしフローラこそはヨーロッパ思想史上にも残るような闘士であり、資本主義の初期における労働者の虐げられた暮らしに抗議の声をあげ、蔑まれている女性たちを護ろうとした。同時代人としてマルクスやエンゲルスらもイデオロギーに則って台頭したが、フローラの戦いほど血の滲むようなものではなかった。自らが虐げられてきたがゆえに、虐げられた人たちを護る。それがゴーギャンの祖母であった。
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