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日記一覧

 カルロス・フエンテスの畢生の大作『我らが大地』が邦訳・刊行され、一部の方々のあいだで熱狂的な人気である。 わたしはその装丁を眼にして驚きを抑えられなかった。あのボスの「快楽の園」が用いられている。 わたしが持っている版は、メキシコの画家ア

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 カリージョ・ヒル美術館での出し物のひとつは、あのヒエロニムス・ボスの「快楽の園」の回顧・影響展。 メキシコの画家がこの作品をどう読み取って、どう表現するかに焦点をあてた野心的な展示。 この機会にわたしもこの作品をじっくり眺めて、あれこれ考

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 米国南部の、疾病に蝕まれた女性作家の短篇文学。 息苦しく、しかもなお、わたしたちはどこかで突き放されているような感じがしてならない。 それははたして、ただの思い込みか。 しかし書き綴るという技術においても、秀でていたことはうたがいない。 

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外国語教育総会の二日目
2016年06月24日13:11

 外国語教師の集いの二日目、わたしの番になる。 恥ずかしながら、わたくしの出番となる。タイトルこそは「インド・ヨーロッパ語の書き言葉と比べた日本の書き言葉」なんていうこけおどし。去年とちがって時間割が悪くなかったのでいちおう、満員。 しかし

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 毎年、恒例の外国語教師(もちろん大半は英語)の集いが今日、明日ひらかれる。 代わり映えしないが、お祭りごととかいった具合に眺めてれば、それでいいのだろう。 べつにこれといって啓発されるようなこともないし。 とかいっても、ひろえるものはしっ

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 主人公が北ドイツの尼僧修道院を訪れ、そこの人たちを知っていく交流譚という流れ。 しかし消えた元尼僧院長の仔細におおくの興味を抱いているらしいことがわかる。 もともとはカトリックの尼僧院であったものがいまはプロテスタントの尼僧院、やや複雑さ

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 ニホンに拡がる貧困、これはおそらく見たくないひとには見えてこない現象なのかもしれないと思っていたが、いまではそんなことも言ってられないようで、街に出ればどうしても行き当たってしまうような時代になったらしい。 堤未果の貧困大国アメリカシリー

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 ニホン語について、いまのニホン語について少なからぬひとたちがああでもない、こうでもないと言い合いながら、なんとかおおまかな姿を描き出そうと四苦八苦している。 大岡信とか丸谷才一とか谷川俊太郎などなど大御所も顔見世して、それなりに華やかさを

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(1)文学批評なるものを、広範かつ底深く教え込んでくれる、コンパクトで貴重な一冊。(2)すべては「フランケンシュタイン」のまわりを巡っているが、この古典についてのよく練られた評論が、いわば種本ともいうところ。それからデイビッド・ロッジの『小

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 鈴木孝夫あたりはいつも、ニホン語はむずかしくないのだと口にしていた。 昨日まで読んでたフランス人神父のG・ネランは、やはりニホン語はむずかしいと語る。 漢字自体は、ふつうの努力さえ惜しまなければ、それほどむずかしいものではない。 ネランの

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(1) この三日間というもの、この本をじつに愉しく読ませてもらった。ややくどいような文体にも特徴があるが、ニホン語に精通した著者の性格そのものが伝わってくるような語り口。本を読むことの醍醐味はこんなところにあるのではないかと思わされた。(2

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 先週、街をぶらぶらしていたら、機関車やらなにやらの乗り物関係の壁画に出くわす。 ザンネンながらいまは実質的に走っていないのだが、このくにと鉄道の関係というのは、話し出すときりがない。 鉄道おたくだけが、鉄道について話すのではない。 

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ドラキュラとヨーロッパ
2016年06月10日13:14

 ドラキュラはヨーロッパのシンボリックな存在だとみなすことも可能なはずだ。 近代ヨーロッパ世界とは限定的な世界であり、中世、近代を通じてイスラム世界の存在感のほうが圧倒的だと思われる。したがって、わたしはじつはドラキュラがイスラム教徒であり

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 イタリア文学でわたしがもっとも親しんだ書き手はパヴェーゼで、それは河島先生に多くを依っている。 イタリア文学ではリアリティとの距離によって書き手についてあれこれいうことが効果的だと思える。 そして一般にイタリア文学ではリアリティに寄り添っ

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 四年前に亡くなったカルロス・フエンテスの(おそらく)最後の作品、「アキレスまたはゲリラと殺人者」の発表会がメキシコシティにて今日、催された。 未亡人であるシルビア・ラムスにラテンアメリカきっての評論家、フリオ・オルテガ、それに出版関係のボ

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 一夜明けても、目覚めるとベッドの下は一面の水であった。 車のなかで着替えをしなくてはならなかった。 地下タンクへの浸水が悩みの種。 しかし家にたどり着くと、市の救援グループがタンクの排水を手伝っているところ。 けっこう待ったが手伝ってもら

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 今年も浸水の時期に至ったようで、ああ、タイヘン! ひょっとして今年は浸水対策の地下排水とか、進歩があったのでは、なんておおように構えていたんだけど。 あな、おそろしや。

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 メキシコでは大気汚染がはげしいという。 従来は、八年以上も前の車は、週のうち一回、走ってはいけない日が決まっていた。 しかしそれでは追いつかないという。 このところ、中古であろうと新車であろうと、週に一回は走れなくなった。 汚染度が高いと

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