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日記一覧

 初期短篇というノリであるが、どうしても深読みしないわけにはいかない。するとその豊穣さが見えてくる。でもこれはこれでただしい読み方かどうかわからない。最後の短篇でようやくスピード感をもって読み通すことができて、こんどは印象がかなり変わってく

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 中米は、もしくはグアテマラは米国の力に屈すことで歴史が成り立っている。たとえばバナナ。かの悪名高きユナイテッド・フルーツがグアテマラの国土を蹂躙。税金なんて払ったためしがない。おなじく大土地所有こそがグアテマラのような国の貧困を形作ってい

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 ニホン近代文学の「私」? いまさら、なにか新しいことでもあるのか。中村光夫で終わりじゃないの? そんな先入観に本書は果敢に挑んだといえるかもしれない。もちろん近代文学は私小説だけではなく、他にも流れはあるが、いちばん表舞台に立っていたよう

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あの頃のこと
2022年07月13日13:36

うちの大学も原理研の根城になっていた。学生紛争の終結後、大学当局は「静穏化」の一環もあって原理研を保護ないし利用しているところがあった。ご多分にもれず、連中は大学食堂などでアンケートとか称して勧誘活動を保っていた。そのころは今と異なってわた

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 叙事詩も叙情詩も存在することがゆるされない時代。ことばだけで創り上げる共和国。散文詩、あるいはnarrativeのための覚え書き。意味を剥ぎ取られたことばがことばだけで築き上げる作品。宇宙の果てへと志向する作品。池に落ちた枯れ葉の葉脈をたどってい

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階段を跳ぶ
2022年07月09日14:11

跳ぶのが好き。階段を跳び上がるのが病みつきになる。宙に留まっていられるから。そのあいだ、時も停まっていると思うだろうが、じつは別物の時が流れている。宙にいることも忘れてしまうほど。気がつくと地上に激突してしまう。でも少しぐらいの生傷はいいの

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 三部作と比べるとなんと冷静・客観的な綴りになっていることだろうか。 それにもかかわらず直喩など表現は鋭く、おおいに冴えている。 以上は、本書を読んだひとなら誰しも思うところ。 いろいろ複雑なものが絡み合うところを生き抜いていた金子、絶望す

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黒猫の救出劇
2022年07月05日12:19

運動しに行こうとしていると人だかりかな。高い木のてっぺんに取り残された黒猫あり。用具をそろえた兄さんがロープ越しに昇る。しかし容易ならざり。至極困難か。でも人もねばる。猫のてっぺんへと近づく。さいわい猫は動顚しているのか身動きせず。い

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