ニホン文学史でもきわめて意義深い花袋の『蒲団』のパロディであると思われる。
では、どのように裁いているのか、興味津々。
現代ニホンの風俗を持ち出してくる。
しかも外国人ニホン文学専門家がからんでくる。
つまりニホンの百年の縮図が描かれていることで、事実上の処女作でもあるこの著者の読みの深さと拡がりに驚かされる。
もちろん出発点は『蒲団』であるにちがいない。わたしもわたしなりに何十年、この作品について考えてきた、中村光夫らの話にたよって。
しかし著者(畏敬すべき仏文学翻訳者の娘)は生きた世界を描きとおせたのだ。
(じつは読んでから時がたってしまった、でも、再読をおおいに促される作品である)
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