mixiユーザー(id:1299833)

2016年12月08日13:27

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藤本隆宏『ものづくり経営学 製造業を超える生産思想』(光文社新書)

 端的にいえば製造業の経営学が詳述されているわけで、わたしが読む本としては異色。
 しかしたとえばメキシコにおいては、製造業よりもモノを動かして利益を得る、という傾向があり、エンジニアよりもマネージャーのほうにより脚光があたる。
 エンジニアが経営者に登りつめることもあるニホンとは好対照。

 さて戦後、急発展をとげたニホンの工業を中心とした産業は、80年代から90年代にかけて凋落の憂き目をみる。
 いわゆるバブル崩壊と俗にいわれるわけだが、つねに優位を誇ってきたニホンの家電、電子産業がアジア各国の追い上げのまえに苦境にたたされる。

 それは製造には、インテグラル(摺り合わせ)型とモジュラー(組み合わせ)型とがあり、すべてインテグラルを旨としてきたニホンにとって時代はモジュラー型へと移行しつつあり、いわば乗り遅れた感がある。
 それは、たとえばIBMと、デルやコンパックという対比でも説明できるかと思う。
 そんな環境にあって、ニホンの産業はいかにモジュラー型へと対応していくのか。そして、それでもインテグラル型でいくしかない産業分野もあるわけで、それを今後、どう発展させていくか、といったことが、いろいろな分野にての実証を基にして説明される。
 わたしのような素人にとっても、今後、ニホンの産業構造がどう変化していくべきなのか。アジアの産業構造がどんな状態にあるか、などを明らかにする。
 五百頁を優に超すこの著書によって、わたしはすでにいっぱしのエコノミストになったような気がするが、まずはイルージョンである。

 長いあいだ、虚学に携わってきているわたしから見れば、実学の世界の強固さ、それに底の深さに眩暈も感じてしまう。
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