mixiユーザー(id:1299833)

2016年06月20日12:31

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多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』(講談社文庫)

 主人公が北ドイツの尼僧修道院を訪れ、そこの人たちを知っていく交流譚という流れ。
 しかし消えた元尼僧院長の仔細におおくの興味を抱いているらしいことがわかる。
 もともとはカトリックの尼僧院であったものがいまはプロテスタントの尼僧院、やや複雑さが籠もっているが、どのみちほぼ閉じた世界。

 弓道の話が織り込まれ、オイゲン・ヘリゲルの「日本の弓術」の話へといたる。
 尼僧院での思想的多様性にも触れているが、その閉じた世界は、この作品の第二部の話により意外な照明を当てられ、物語の深みが増すことになる。
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