猫八さんは、貴重な体験と向き合って生きてきた、軍の輸送船やらヒロシマでの被爆とか。
そういう話は、どうやら他の本で語られているらしい。
ここではタイトルにもあるように、釣りに焦点が絞られている。
釣りというと、わたしあたりはつい開高健とかを思い浮かべてしまうのだが、開高はどちらかというと例外に属するのであって、たいていは病み付きとしての釣り、というところか。
わたしはあまり心得てはいないものの、世間にはまぎれもなく釣りブンガクなどというものも存在しているらしい。
この本ではもっぱらヘラブナというところで、いかにも小市民性があぶりだされている感じ。
ほんとは卑小な世界のはずなのに、それでも病み付きになってしまうひとがいるのは、いったいどんな道理に基づいているものやら、わたしのような部外者にはあまりわからない。
とにかく、もっと突っ込んだ叙述が欲しかったが、多忙やら書き綴ることへの執念が足りなかったのだろうか。
こういう場合、その責任はおおいに編集者にもあると思う、この場合は、小林一正だとか。
ログインしてコメントを確認・投稿する