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2022年05月12日18:21

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「カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ」サリー・ルーニー著 山崎まどか訳

今最も注目される英文学(アイルランド)作家の一人ということで借りてみた。
面白いし、なかなか考えさせられる恋愛長編だった。

アイルランドの名門大学生21歳のフランシスは、
一番仲の良い、同じ大学生ボビー(女子)と、過去には恋愛関係にあった。
美しく賢くて裕福なボビーと共に知り合ったのは、
やはり裕福な三十代カップルのメリッサとニック。
やがて、とてもハンサムなニックと恋に落ちたフランシスは……

四角関係の恋愛もの、とひとくくりにできないのは、
主人公が文才に恵まれているのに、貧乏な出自を持ち、
そのことで必要以上に自己を卑下する傾向が見られる点だ。
アイルランドと言っても、所詮イギリス、ということか。

自分は奨学金を得て、しかも不安定な父親からの振込が滞っても
親友のボビーにさえ隠そうとする。

ドロドロ恋愛ものがベースなのに、
英国特有のクラース(アッパーミドルとかワーキングクラスとか)の
匂いがぷんぷんする会話や独白が溢れている。
例えば、フランシスは裕福な人に囲まれているせいか、
自分の階級の喋り方と、母音の発音が違って気取ってきてしまっているのではないか、と心配する。
それに比べると富裕層のボビーの方が
労働者階級と気兼ねなく喋れる、とフランシスは感じる。

私はオーストラリアで3年あまり、一時期は日本語ゼロ状態で暮らしてきたから、
言下の階級意識みたいな雰囲気は、理解できる。
日本でも格差社会と言われているけれど、それはほぼ収入格差の話だろうが、
英連邦の国では未だに事情が異なるのではないか、
という事を、フィクションながらも改めて確認できたように感じる。

この点で、この小説は、
ワーキングクラス或いは貧困層の天才女子の、孤軍奮闘ものがたり
といえないこともない。
その側面が、独特な作風というか展開を与えて、
特別に個性的な物語になっている。

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