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日記一覧

「風に立つ」柚月裕子著
2024年04月30日15:42

親子関係に問題のある父子を中心とした物語で、とても面白かった。孝雄は腕の立つ南部鉄器職人で、妻を亡くしてからは一人息子の悟と二人暮らし。住まいの敷地内の工房で、還暦近い職人の健司と、時折アルバイトを雇う。そんな中、突然、孝雄が補導委託を始め

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1950年代終わりから60年代のハーレムを舞台にしたアフリカ系男性の奮闘記。前半は、時に冗長にも感じたが、ラストに向けてハラハラしてニューヨークという大都会を駆け巡るスリルもあり、とてもおもしろかったし、またNYに行きたくなった。父親は小悪人だっ

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河口湖から、隣の西湖までドライブと思って、河口湖畔のT字路から左折しようとしたら、係員?が交通整理をしている。よく見ると、向こうから列をなして走って来る人々が、ゼッケンを着けての、本気のランニング。なーんと、今日は、富士五湖ウルトラマラソン

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富士山、河口湖、富士桜
2024年04月20日16:29

昨日から河口湖に来ている。湖の周りは、もうソメイヨシノは葉桜だけど、今朝は珍しく朝から午後遅くまでも、富士山の頂上が、くっきり見えている。桜はソメイヨシノだけではない。例えば、富士桜カントリークラブ辺りでは、可憐な満開の富士桜

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この作家の原作「キネマの神様」を映画化した山田洋次監督は内容を大幅に変更した脚本を書いた。映画を見た作家は、その映画を自分流にノベライズ。それが、この小説なので、映画を思い出しながら読んだわけだが、正直なところ、映画の方がピンと来た。でも、

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この作家の原作「キネマの神様」を映画化した山田洋次監督は内容を大幅に変更した脚本を書いた。映画を見た作家は、その映画を自分流にノベライズ。それが、この小説なので、映画を思い出しながら読んだわけだが、正直なところ、映画の方がピンと来た。でも、

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年に一度はニューヨークの映画を観ることにしている。これはブルックリンの住宅が主な舞台だけど、あの街の雰囲気は楽しめ、どの出演者も魅力的で、とても面白かった。ハサウェイ演じる精神科医は、ブルックリンのクリニック兼邸宅に、前夫との一人息子と、オ

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今年のアカデミー賞作品賞受賞、あの「マエストロ」や「キラーズ⋅オブ⋅ザ⋅フラワームーン」「哀れなるものたち」を打ち負かしたのは、なぜ?と、半ば義務的に見に行った。平日午前なのに、8割位の入り。ひと言いうと、私はこの監督なら「

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川がある街に暮らす人々を描く中編3作。楽しんで読めた。2作目は、人間ばかりでなくカラスの生態までも語られる。「街を立体的に見せるため」だそうだ。認知症の老未亡人⋅芙美子の、ドイツでの生活を描く3作目が特に気に入った。段々と明かされてく

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著者の等身大と思われるような色の濃い連作短編集。読み手にも依るのだろうけれど、私にはそこここでクスリ、にやりと笑えるような話ばかりで面白かった。元はと言えば、この作家を好きになったのは、素顔の人となりが感じられる連載エッセイからだった。独特

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去年、生誕120年記念の展覧会が、国立近代美術館等で開かれた世界のムナカタ こと、棟方志功の生涯を、主に妻のチヤの目で描く力作、とても面白かった。共に青森の生まれ育ちの二人が知り合い、偶然にも再会し結婚。しかし師もコネも無い棟方志功は、単身

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中学時代のいじめの加害者と被害者が大人になって再会する。心に刺さってくるような展開に、ページをめくる手が止まらない長編。とても面白かった。ルッキズムどっぷりで成人となり母となった莉子と、不条理に真っ向うから立ち向かえる強さを持つようになった

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長年のように一年1冊のペースだったのに、久しぶりの邦訳。主人公ケイ⋅スカーペッタが、今回は古巣ヴァージニア州に戻って新しく検視局長に就任したところから始まる。いつものメンバーーー夫のベントン、元刑事のマリーノ、そして最愛の姪ルーシーは

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東京と英国湖水地方を舞台にしたロードムービー。タイトルが表すように、ウサギすなわちピーターラビットがキーとなるかというと、さほどでもない。亡き妻の散骨をしに、主人公と錦戸亮演ずる一人息子の一家が英国まで旅に出る。もともと父子関係は良好ではな

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海と山を持つ架空の県での人間模様を描いた連作短編集。爆笑はほぼないが、何回もクスッ、ニヤっと笑わされて楽しめた。タイトルにあるように、本物の神が人間に変身して登場する話もあれば、人間のみの物語もあり、主に中年、或いは若手の社会人達の、黒蟹県

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著者は、ひと頃テレビに出演していたような、流行りものの案内や解説を得意とするコラムニスト。というか、軽いノリを装いながら、実は国会図書館利用のリピーターチャラい側面を押し出しながらも、核を持っている執筆者だと思う。今回の本はタイトル通り、昭

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去年公開当初行くか迷った末、逃していたが、ようやく鑑賞。このところの海外の高評価⋅受賞のためか割引デーの午後は 9割位の入り。主人公やその家族は「風立ちぬ」を思い出すような人たちだけど、思いっきりファンタジーのキャラ達は、さすが。虫系で

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一昨年、「ガイアの夜明け」等のメディアにも登場したリゾート経営会社社長の、サクッと読めるビジネス書。彼の白馬岩岳マウンテンリゾートという会社の関連会社に知り合いが勤めているので興味を持った。著者は元々東大卒の農水省官僚で、まずは外資系コンサ

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とても読みやすく、サクサクと楽しめた。主人公の俺こと力(ちから)は、新宿近くの古いホテルに勤めている。小規模なため、宴会の招待状の宛名書きは、外部の登録筆耕士に依頼している。ある日先代が亡くなり、後継者の筆耕士を訪ねて行くと、同世代の、とても

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今回の芥川賞受賞作。かなり面白かった。未来の東京。五輪の競技場は、最初のコンペに勝ったザハ⋅ハディドの建築だ。その近くの新宿御苑内に、シンパシータワートーキョーという、犯罪者を収容する、超高層ビルの建設コンペが開かれようとしている。建

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軽〜い長編でサクサク読めて面白かった。タイトルの二人が古希を迎え、住まいを飛び出したところから始まる。性格の全く違う二人は中学の同級生だったが、卒業15年後のクラス会で、お互いの不幸な境遇を知り、親しくなる。老女の逃避行は、きっちり計画され

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ヴェネチア金獅子賞と聞いて、まずは原作を邦訳で読んで予習していったのだが、見終わって「なぜ ここまで演らせたの?」という大きな疑問。原作である程度予想はしていたけれど、これ程18+ の演出とは?本当に驚いた。原作と違って、舞台はロンドン?少な

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このほど公開された映画の原作。映画の評判通り、何とも奇妙な長編。読み終えたところで、「私頑張って読んだ」達成感はある。舞台は二十世紀に入った頃のグラスゴー。大金持ちだが、異様な外見のバクスター医師のところに同居を始めた謎の若い女性ベル。バク

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定番とも言えるような、ギター(ウクレレ?)サウンドで始まった。あーー懐かしい、ホッとする、と思いながらの1時間半。期待以上とは言えないけれど、良かった。アメリカ人夫婦のモートとスーは、スペインの映画祭へ。スーは若手フランス人監督のフィリップに

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小学生の時コロナ禍でステイホームとなった主人公⋅冴と心晴(こはる)、その後の彼女達の生きざまを、周囲の人々と絡めて描いた心を揺さぶられる長編、とても読み応えあって面白かった。冴は、夜の仕事に就くシングルマザーの一人娘、母は明るく働き者だ

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今回の芥川賞候補作だったが、賞を逃した小説。読みやすくてズンズン読んでしまったが、賞には届かないのは納得。琴音は会社勤めを辞め、個人でピアノ教師などをしながら一人暮らし。その生活は、読み進むに連れて、安定していないとわかってくる。伴奏の仕事

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ギフテッドとは、「先天的に平均よりも高い能力を備えて」いる子ども、として描かれている。まあ、ざっくり言えば天才児のような。そういう子どもと中学受験をテーマにした長編で、とても面白かった。主人公の凛子は東大卒独身だが、最初に就職した会社を、パ

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割引デーの午後、大スクリーンに3割位の入り。しっかりした助演俳優たちが揃って、楽しい映画だった、ミュージカル仕立てで。あのウォンカチョコレートの生みの親チャーリー⋅ウォンカ(ティモシー⋅シャラメ)の若い頃、少しの魔法で、とても美味し

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東京の郊外にあり、夜7時から真夜中12時まで開館する「夜の図書館」に勤めることになった乙葉の、お仕事奮闘記で、とても面白かった。オーナーは決して顔を現さず、職員採用面接にはボイスチェンジャーを使用する徹底ぶり。スタッフは殆どが乙葉より年上で

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ミステリアスな、シニアの人間模様。恋愛ものともいえるような長編で、とても面白かった。70代夫婦とその友人でバツ一の男性が、隠居先として離島(恐らく伊豆諸島)に移住する。大きな一戸建てでは、住み込み料理人として幼い子連れの女性が待っていた。まず

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