とても面白い長編ファンタジーで、ちょっと推理も楽しめる小説。
でも、基本は中学生男女7人をめぐる学園小説でもある。
主人公は、陰湿なイジメに苦しむ子供達。
中一女子の こころは、一人っ子で、両親はフルタイムの共働き。
陰湿なイジメにより不登校になって、毎日テレビ漬けの生活を送っていた。
そんなある日、部屋の姿見鏡に突然引き込まれ、別な世界へ踏み込んでしまう。
といっても、行ける場所はただ一つ、
電気はあっても水もガスもない、城。
そこで、こころは一年から三年生まで6人の中学生と出会うのだが、
全員不登校で、しかも同じ中学の生徒だとわかる。
毎日のように城に集まるこころたちは、だんだん仲良くなり
学校よりも、或いは家よりも居心地がよくなる子も。
が、城にいられるのは3月30日までで、
さらに城の主の「オオカミさま」に、ある条件を与えられる。
と、子どもたち中心の、中学生目線の物語なのだが、
学校の教師や親たちなど、周囲の大人たちの描写が鋭く、
大人こそ十分に楽しめる小説となっている。
推理力を働かせて、「これはおそらくこういうことか」
という謎解きも、数箇所楽しめる。
(私の場合、一つしか思い至らなかったけど)
中学生の活劇のような作りだけれど、
読みやすさの中の奥深さというか、
傷つく子供達と彼らの周囲の大人の言動をじっくり伺える、
読みでのある小説だった。
ようやく「ツナグ」の著者に再会できたという印象を持てて
大満足の一冊だった。
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