ちくま新書である。
目次に眼を通すと堅固なことばが並んでいる。
しかし読みはじめると、やはりどこかで読んだことがあるようなことばかり。
タイトルからして、ニホンは「無思想」ではなくて「非思想」ではないか、なんてからみたくなってくる。
非思想ということは、節操が欠けているが、足かせがないことで小回りがきくということも意味し、つまり適応力に富んでいる、ということになる。
このあたりから、あり地獄的なニホン論、ニホン文化論にはまりこんでいく怖れがあるが、なんとか持ちこたえてみたい。
おさらい。
養老孟司の語ることには、ときとして冴えがみられる。
それは往年の山口昌男を読んでいるときにも感じたことであり、山口が非ヨーロッパ世界を希求していたのとおなじく、養老はからだのなかへと突きすすんでいく。
からだのなかから、ニホンを世界をいかに語ることができるか。
しかしながら、蓋をあけてみると、養老孟司はからだオタクではなく昆虫愛好生涯であることを知り、あたりまえの旅行者とは異なった視点でニホンを、世界を眺めていることに気がつく。
つまり養老孟司はジェネラリストであり、かつてはよく話しに上った「たこつぼ」とはずいぶん異なっている。
この爺さんの智慧がさらにどう発展していくのか、見つめずにはいられない。(心中するつもり?)
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