その内容は広範で、他の著書でより詳しく語られているものばかりである。
その広範さにひたっていると、まるで諸学に通じてしまったかのような幻想を読者にあたえる。
しかし、あたまにしっかり残るものは少ないのではないかと思う。
この著者の白眉のひとつは、脳の生理学である。
なぜ人は眠らなくてはならないのかをエントロピーとからめて説明するのはおもしろいが、それは本書では見当たらない。
人の脳は、発達しすぎてしまったために、つねに入力と出力を欲する。
極端なことをいえば、ぐるぐる回していないと退化してしまう。
その結果、人は「考える」という行為から逃れられなくなった。
そして「考えた」結果、人間の、社会の多くのことが説明されるという。
「神」の発明とか。
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