高校生の男女を主人公にした、パラレルワールドもの、とでもいおうか。
ダメ男くんが、東尋坊からワープしたところから始まるのだが、
好対照の男女を描きつつ、推理とかSFというよりも、青春もの、という感じがした。
主人公は金沢の男子高校生で、崩壊しかけた家族の末っ子。
2年前に事故死した、「友だち」の少女を弔いに、寒い東尋坊へ一人でやって来た。
すると風が吹いて・・・
彼の家族を描写しながら、「パラレルワールド」では彼の「姉」となるはずのサキという明るいキャラと行動することで、
主人公の持っている、暗い部分が浮き彫りになってきて、
ペアでの冒険もの、の形をとりながら、東尋坊の死の真相を暴こうという意図が表れてくる。
青少年の自分探し、っぽさもあるなぁ、と思っていたら、ゆっくりだけれど深い展開がはかられて、
ヤングアダルト向けとしては納まりきれない、ぐっと奥行きのある物語となった。
好きか嫌いか、と言われれば、この手の話は好きではなかったのだけれど、
サキというキャラクターの魅力に、敬意を表したいと思った。
新潮文庫の100冊のひとつ。
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