タイトルを始め九つの短編全てが昭和のヒット歌謡曲からインスパイアされている。
名曲「時の過ぎゆくままに」など、元歌の歌詞がインパクト大なので、
それぞれ物語を展開させるのは、さほど難しくはないだろうと思われるものの、
あぁこう来たか、というようなものもあり、とても面白い。
元は昭和の歌謡曲であるものの、小説は平成の設定にしてあるから、
男女の在り方とか危ない仕事の職種や怪しい人々とか、
平成時代を巧みに切り取って見せている。
貧しく寂しい人々が紡ぐ何とも切ない恋愛物語の数々。
例えば「ジョニィへの伝言」は、歌自体が物語になっているのを、
元歌ではヒロインは踊り子となっているが、小説では・・
井上荒野のオリジナリティ溢れる9つの短編と歌詞のような一篇の詩に加えて
巻末の解説が、江國語録炸裂で、これもとても面白い。
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