ものすごく面白い特別展とギャラリートークが、駒場の日本民藝館であった。
今日は、志功の孫で、棟方志功の研究家かつ学芸員の石井頼子さんのギャラリートークがあった。
国際的に評価された、あの昭和の大版画家が、
柳宗悦という鉄壁の審美眼の持ち主の「庇護」の下で
いかに育てられ、実は制約を受けていたという事実を、
作品を鑑賞しつつ、
実の孫でもある研究者から、生々しい解説を聴きながら、
芸術作品を愛でる、という
何とも贅沢な至福の時間だった。
「リーチ先生」でも広く知られるようになった柳宗悦。
彼によって才能を見出だされ、有名になった志功。
この鉄壁の師弟関係だけれど、実は微妙に異なる感性があり、
きっと棟方本人は失望を味わっただろうな、という事実(今となっては昭和の美術史実か?)があった。
それを柳の牙城である民藝館で、生々しく鑑賞することができる。
例えば、入口を入って右奥にひっそりと展示されている
「伝教法師像」
これは最期まで柳には「伝教」と認めてもらえなかった、という。
しかし、誰の目にも、力強く美しい版画だと見えるだろうし、
棟方志功の名をを世界に知らしめた「釈迦十大弟子」の基となったと見てとれる。
そんな大作なのに、民藝館の目録には、ただの「仏像」としか記録されていないという。
2階のメインは何といっても
「華厳譜」
これは民藝館開館の時に大壁面を飾った記念すべき大作なのだが、
これも柳宗悦の指導のもと、作り直しをさせられたという。
今回は特別な計らいで、いわゆるビフォアー&アフターが並んで展示。
なんという大胆な企画!
偉大な柳宗悦がダメ出しをした作品を、敢えて並べるなんて。
まだまだ面白いエピソードや展示のしかたがあり、
いくら書いても書ききれない。
とにかく、昭和から生きてきた芸術好きの日本人には必見、
お勧めしたい意欲的な特別展だ。
来月半ばからは、展示が入れ替わり、あの
東北経鬼門譜
が展示される。絶対また行くつもり。
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