実は日記に載せるのもはばかられるような小説。
もちろん桜木ワールドど真ん中の北海道・釧路ものなのだけれど、
いつもの作品よりも、かなり大人向け、というかハッキリいって、映画ならR、成人向け。
読んでいて面倒なくらいな描写が多かった。
主人公は博人という、極貧で生まれながらにして全ての指が6本ある、という美男。
彼をめぐる女たちの短編連作なのだけれど、一つ一つが切れ味あり、
新聞広告には釧路ノワールとあったように、何とも暗い。
が、私が常に感心してしまうような、郷土愛というか、
つらくて大変なシーンに、必ずと言ってよいほど
釧路の風景が、美しくあるいは哀しく描がかれていて、内向きの読者の目を上げさせるというか視野を広げてくれるというか。
ふっと息を抜かせる、また、息を飲ませるような情景描写は相変わらず冴えていて、期待通りだった。
恋多き男の連作ものとしては、たとえば「ニシノユキヒコの恋と冒険」(川上弘美著)があるけれど
川上作品にある、シニカルなユーモアは無く、この「ブルース」は、きつい展開を、自然描写で和ませるし、そっと支えてくれる。
いつも思うのだけれど、雄大な北海道ならでは、の物語となっているし、
釧路川とセーヌ川を比較するところなども、好ましかったのだが・・・
おもしろかったけれど、万人には勧められない小説で、私はちょっと苦手。
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