とても面白い。この作家は今、旬だと私は感じる。
タクシー運転手の青吾は、内縁関係のパートナーの多美が、
旅先の五島列島で、波留彦という男と海難事故に遭ったと聞かされ驚愕する。
生還は絶望的な中、波留彦の妻·沙都子と二人で現地に向かうが、
よそ者には打ち解けない人々から、何とか情報を得ようと巧く工夫するのは、主に沙都子。
多美と波留彦が何のために二人だけで船に乗ったのか。
青吾は、多美にもらったお守りが、この島に有ったものの廃墟となっている神社のものと知り、
中身を取り出してみると、テレホンカードが出てきた。
そして、深夜、島の公衆電話に差し込んで多美に電話してみると……
親しい家族を急に亡くした者の悲しみが、よく描かれている。
海での遭難は、単なる事故か?心中ではないのか?或いは事件なのか。
疑問を゙解き明かそうとすると、多美ばかりではなく、青吾自身の過去も明らかになって行き、
ミステリー度及びヒューマンドラマ度がグンとアップする。
ネタバレになるけれど、
死人と話すというファンタジー要素を組み込んで、独特な趣があり、
この作家の次回作も読みたくなるような長編だ。
何でもミステリーとラベル付けしてきた世間の去年の風潮から一転
王様のブランチでは、大人の恋愛小説と評していた。
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