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2025年09月17日12:17

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「踊りつかれて」塩田武士著

直木賞候補作、とても面白い社会派長編。

冒頭、「宣戦布告」として何者かが、過去にSNSやでっち上げ記事で
芸能人2人を表舞台から消えさせた83名のプライバシーをネット公開する。

ネタバレになるけれど、著者御本人もここまでは公開オーケーというところを述べれば

その2人の中の芸人天童ショージの方と中学の同級生だった弁護士·奏は
83名の一人から訴えられた、ネット公開の張本人·瀬尾に弁護を゙依頼される。
瀬尾は、もう一人の芸能人、天才歌手の美月の音楽プロデューサーだった。

ネットの匿名性や、作り上げた週刊誌記事を痛烈に批判しつつ、
2人の若者がいかにしてスターとなり、やがて貶められて行くのか
弁護のための調査を゙通じて、過去を奏が明らかにして行く様がとても面白い。

また、美月が昭和の名曲を歌った描写が随所にあり、中には洋楽も。
特に「The way we were」がキイとなっていて、
バーブラ・ストライサンドの滑らかな歌声が聴こえてきて
何とも華やかなウキウキの読書シーンとなって大喜びした。
たまたまバーブラの相手役だったロバート·レッドフォードが亡くなってしまったし…
あの映画「追憶」を゙近々BSででもやらないかしら。

折しもこの著者がテレビ番組に出演し、作品執筆の裏話等語ったが、
それが実に面白くて、例えば、塩田武士は漫才師を゙目指したこともあった、とか。
作家デビューの時は、まだ神戸新聞の記者との掛け持ちで、
この小説ばかりでなく、他の作品のための制作ノート等を公開したのだが、
さすが元記者という綿密さだった。

さらに裏話として、この小説を書き始めた時は主人公の弁護士は四十代男性を゙設定。
しかし編集者の勧めで若い女性に変えた、とのこと。

今を生きる作家の小説を読むと、思いもかけず打ち明け話が入ってくる事がある。
今回は、そのお陰もあって、楽しさマシマシの読書だった。

最後に蛇足だし、全くの私見だけれど、
この作家の著作は映画化された「罪の声」等、とてもよく書けていて面白い。
だから今回直木賞を取れても良いように思える。
なので、ダメだった要因の一つとして、ひょっとしたら
歌手の美月の踊りの表現にあるのかな〜、と思いいたった。
例えば、直木賞作家の桜木紫乃が踊る女性を描くと、その人物は本当に踊っている。
な〜んて、ね。

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