とても好ましい中編で、大いに楽しめた。
弟の挙式のためにやって来たのは、
最愛の、亡き叔母と二人旅する予定だった仙台。
読み進むにつれて主人公·景子の人柄や職業などが明らかになるのだが、
誠実で、着実に生きてきた弟との対比が愉快だし、
平均的な庶民とは異なる両親や裕福な祖父ら、
とにかく個性的な家族が、だんだんと浮き彫りになっていく様が秀逸だ。
結婚式という華やかでめでたいシチュエーションの中の
景子の孤独な悲しみが淡々と描かれ、そして……
登場人物たちが全て魅力的で、特に最後の方で活躍する
スパイスのような人物との関わりが、すごく楽しかった。
家族の集まり、祝い事に、居るべき人がいなくなってしまった
その悲しさが、短い中に描ききれていると感じた。
今年は読書の当たり年になりつつある、そんな予感が強くなる一編だった。
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