日本とメルボルンを舞台にした書き下ろし。
恋愛小説なのだけれど、とても巧みな構成で面白かった。
留学先での大学生活を楽しめていないレイは、バイト先の先輩に誘われたBBQで、ブーと知り合う。
期限付きの恋愛関係と割り切ったレイとブー。
帰国を目前にした頃、レイはブーの友人の画家のモデルとなるのだが、
画家のジャックが描いたのは油彩のもととなるエスキースだった。
そして舞台は日本に移り、次章では額縁職人が主人公の話となる。
が、読み進んでいくと…
読みやすくてずんずんページをめくって行くと、なるほど〜と繋がる、
上手いなぁ、と感心しながら本編を終え、エピローグに入る。
すると納得の説明をしてくれるのは…
タイトルに託された意味を理解しつつ満足して、読了、
となるのだが、
オーストラリアの東海岸三都市で、計3年余り暮らした私としては、
一点だけ引っかかる点がある。
第一章にワライカワセミという言葉が出てくる。
確かに豪州を代表するその野鳥は、日本語ではそう呼ばれている。
しかし現地に住んでいる日本人で、その言葉を使う人を
私は、一人も知らない。
あの鳥は
クカバラ 又は クーカバラ
とカタカナ発音で呼ばれる。
オーストラリア人と仲良くしていれば、
当然、kookaburra 以外で呼ばなくなる。
すると、そういう日本人と付き合いがあれば、
英語が不得意で現地人とは接触しなくても、
日本語でもワライカワセミとは呼ばなくなる。
そもそもオーストラリアに溶け込んだなら、
ワライカワセミなどと、多音節の言葉は使わなくなってしまう。
オーストラリアとは、そういう、良い意味でレイジーな、
好意的な意味で、手間が少ないのが好きな国民性なのだ。
この作家はシドニーで暮らした経験があるという。
全てを計算した上でのワライカワセミだということなのだろうけれど、
主人公レイの、現地に馴染めない有り様を、
こんな点でさらに強調して描いてみせてくれたのだとしたら、
技あり一本追加って感じ。
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