この作家らしいミステリー。青春小説でもある、が、恋愛小説とはいえない。
おもしろかった。
主人公は、地方から都会の大学に入り、就職した深瀬。
難関大学を卒業したのだが、就職先は大企業ではない、
つまり頭は良いほうなのだがヘタレ系男子で、彼女いない歴20年以上のタイプ。
そんな彼の日常を、初めに巧みに語りながら、彼の大学時代の友人との話へと展開していく。
実はこの小説、コーヒーが、大事なキーアイテムとなっている。
深瀬は、誰の記憶にも残らないような目立たないキャラで、学校でいじめられたこともあるのだが、
ただ一つ、大学に入ってから、コーヒーを淹れるのが大変上手という特技を得た。
そんな地味な青年が、たった一人の素晴らしい友人に恵まれた、のだが・・・
なんとも切ない物語でもあり、やるせなさ満載でもある。
特に学校での子供たちの、学級内での位置づけ論については、何とも見事な解説ぶりで、
不快でさえもあるのだが、現実に即した描写には感心してしまった。
って、本当に、今の(或いは数年から十年前の)学校って、こんな感じなのだろうか。
だとしたら、生徒たちは、ずいぶん不愉快な環境の下で団体生活を送っているのだな、と思った。
最後に、あえてケチをつけるとしたら、この装丁はいただけない。
いくらコーヒーがキーとなる小説だからって、このドット柄っぽい、ダサさは何?って感じ。
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