mixiユーザー(id:7990741)

2016年01月11日12:42

243 view

「砂浜に坐り込んだ船」 池澤夏樹著

2010年から15年にかけて、「新潮」などの雑誌に掲載された9つの短編をまとめた本。
ほぼ全編が、死者との対話・交流をテーマにしているので、
悲しい作品ばかり、ともいえる。

少年3人が、舟を出して、別荘にある窯でピザを焼こうとする、なんて一読すると楽しいはずの話にさえ、
亡くしてしまった親族を心から悼む気持ちにあふれている。

その作品もそうなのだけれど、東日本大震災の犠牲者を追悼する小説が多く、
美しくて巧みな描写のそこここに、あちらの世界というか、死後の国からの香りが漂う。
が、と同時に癒しの配慮があり、残されたものは、しっかり生きていくのだ、みたいな姿勢も見られる。
死者は、望めば、傍に来て支えてくれる、というか。

全篇異なる主人公だが、救われそうな人もいれば、そうでない者もいる、という点が、空々しくなくて真面目だ。
であっても、おとぎ話風のものもあるところが、好ましいし。

夜一人で読むのは、あまりお勧めできないけれど、おもしろくて一気に読み終えてしまうような
つぶぞろいの短編集だと思う。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年01月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31