昭和の終わり近い頃、大阪の銀行で実際に起きた人質立てこもり殺人事件、
その凶悪犯と母親及び愛人に焦点を゙当てたフィクションで、読み応えあり面白かった。
釧路を頻繁に舞台にする作家が、北海道出身の若い新聞記者と
コテコテの大阪人のベテラン記者の活躍という設定にし、
新聞記者ものの形を゙取っている。
最後の謝辞に故人の実名を挙げてあり、ベテラン記者とは、たった一字違いにしてあることがわかる。
映画にもなったこの事件は、当時大変な騒ぎを引き起こした。
その背景には、戦後のベビーブームがあり、
その後の学生運動や少年犯罪の激増があったが、今の時代にも見られるのが毒親。
犯人·花川清史の母は丙午生まれで口減らしに売られた過去を持つ。
42歳という高齢で出産した一人息子を溺愛したが、ダメ夫とは一度離婚。
清史は転落の道を歩み始めてしまう。
凶悪犯自身よりも、その周囲の人々を、新聞記者の徹底取材という形式で綴ってあり
ノンフィクションのような読書体験を゙楽しめる。
もはや「戦後のベビーブーム」は死語に近いかもしれないけれど、
改めて時代の闇を感じることができた。
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