ペーパーバックの原書を地元図書館から借りた。
カズオ·イシグロといえば、「信頼できない語り手」と、よく言われるので
何だか先入観を持って読んでしまって、読後はモヤモヤ。
主人公のエツコは、ロンドン郊外らしい町の一軒家に一人で住んでいる。
そこへロンドンから次女が泊まりに来るのだが、それはある悲惨な出来ごとがあったからだった。
エツコはそこで、戦後数年して夫と二人で住んでいた長崎の夏の思い出を語り始める。
団地から見える川辺りのバラックに、30歳前後の
女性と10歳くらいの女児が移り住んで来て、
そのサチコとマリコ母娘と親しくなるのだが、
サチコの素性はよくわからず、また、
マリコは普通の小学生とはかけ離れていて、
彼女達の危うさにエツコは強く惹かれて、行動を゙共にする。
そんなエツコは第一子を妊娠しているのだが、安定期のうちに、と義父が訪ねて来て滞在する。
その義父は好人物に描かれていて、エツコが好いているのがわかる。
穏やかに暮らす専業主婦だったはずのエツコが、なぜサラリーマンの夫と別れて
イギリス人と結婚し英国に移り住んだのか
普通は、そちらの方が物語になるだろうに何も語られない。
ネタバレになるけれど、
結局日本人の夫とは離婚か死別かわからず
更に2番目の夫とはどう知り合ったかも語られず。
果たしてサチコとマリコは何者なのか、不明なまま終わる。
けれども、読者は種明かし的な詮索をしたければ、いくらでも想像できそう。
そして作者も公認したらしい、原作とは違う映画の結末に期待が高まる。
そもそも、原題とは少し異なる邦題の付け方にヒントがあるのかも、
などと、思い巡らす一冊だった。
追記
映画を見てきたが、モヤモヤがすっきり晴れて、ものすごく気持ち良かった。
この原作を゙読んで?と感じた読者は、石川慶監督の映画を見るべきだと思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する