小学館の小説誌に連載されていたそうで、ヤングアダルト向きっぽい中編。
といっても、さくっと読めそうでいて決して明るく楽しいお話ではない。
意外なほど素直に熱中して読み終えた。
著者は脚本家としての実績はあるが、これが小説デビュー作だそうだ。
確かに文章は平易で、内容に比べて軽〜い雰囲気の展開かも。
主人公は天涯孤独の、明らかにオドオド系の二十代の青年、星太朗。
団地でひとり暮らししているのだが、幼い頃に母を、
さらには男手一人で育ててくれた祖父を中学の時に亡くしている。
そんな「かわいそうな男の子」の物語。
だがこの小説が面白いのは、なんといっても星太朗の親友だ。
母の形見のコアラのぬいぐるみが、
星太朗だけには話すことができ、さらには動くこともできる
というとんでもないメルヘンチックな設定が、
何ともいえずユーモラスで温かい。
また、星太朗というキャラクターが、私には大変好ましい。
そして、コアラ!
コアラという動物キャラは、例えは去年公開された映画「シング」の主人公みたいに
可愛らしい姿な割には、いい加減だったり友達思いだったり、
そもそもオーストラリア人って、そんな人が多い。
軽い外見を侮るなかれ、読む人によってはグッと持っていかれる小説だった。
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