この作家の得意とする芸術家ものの長編。
ゴッホと弟で画商のテオ、彼らと同時期にパリで画商をしていた林忠正という実在の日本人の物語。
参考図書リストの長さが示すように、下調べが念入りでかなりノンフィクションっぽい。
一昨年の「暗幕のゲルニカ」去年の「リーチ先生」は、
実在人物にほどよく架空のキャラクターを加え、
のびのびとした展開で面白かったけれど、
本作は、あまりにも有名な兄弟のうちのテオを中心にしてあるからか、
登場人物達の活躍が淡々と描かれすぎている気もした。
物語は、パリに日本から重吉という若者が到着するところから動き始める。
彼は大学の先輩の林忠正の下、画廊で働き始める。
折しもパリでは日本からの美術品が受け入れられ始め、
どんどん人気が上昇し、さらに印象派の画家が台頭してきている頃だった。
ゴッホの絵の中でも、私は「星月夜」が特に好きなのだが、
この単行本の表紙が、まさにそれ。
物語終盤て、この名画についての、学芸員原田マハ氏の解説のあるあたりから、
この作家本来のペンの運びとなったように感じた。
逆に言えば、前半はちょっと物足りなかった、あまりにも史実を語るスタンス過ぎ。
実は我が家には「星月夜」の模写がある。
15年以上前、趣味で油絵を描いていた母の家で、
夏休みに息子(つまり母の孫)が描いたものだ。
ちゃんと壁に飾ることにしようかな〜。
それとも、本物を観にニューヨークに行く?
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