マイミクさんのお勧めの、とても薄い一冊
と思ったら、意外にも人生哲学を平易に語るようなくだりもあって、好ましい。
言わずと知れた直木賞作家が、テレビ番組の企画で、イタリアのアルプスにトレッキングに行く
紀行文なのだけれども、それがこの書き手なもので、軽い調子で描かれながらも
実は命の危険を何度も感じながらの雪山登山。
しかもそのガイドが、日本語堪能な仏教僧侶のマリオさん。
このマリオさんとザイルでつながっているからこそ登れるような危ない所を、
登山はしたことなかった著者が、とにかく歩いていく。
去年、私は初めて熊野古道を歩いたけれど、あれでもけっこう大変に思ったのに、
ま〜〜あ、このトレッキングのハードなこと。
テレビで見かけた、ちょいぷよチックな角田女史からは想像できないほどの強行軍突破に、
彼女は実は体育会系ということだったのか・・・と思う。
雪があるから、当然(?)氷河もあり、クレバスもあり、そして岸壁ではフェラータまで行って・・
フェラータというのは、ワイヤーに引っ掛けた金具を身に着けて歩くこと、だそうだ。
ヘルメットまでかぶって、なんだかとても危ないみたいだけれど、ガイドのマリオさんに
「こわい、というのは、危ない、というのと違う。今日の道は危なくない」
などと言われながら、頑張って進む。
とにかく、へっぴり腰風なスタンスを取りながらも、ちゃんと山に登ってそれから下りてくる
角田光代というのは、すごい人だなぁ、と感心した。
本当にいい根性している。
ところで、山を下りてから、ガイド夫婦とは別れて、日本からの一行はヴェネツィアに寄るのだけれど、
その数時間前まで大自然の中にいた反動から、あの美しい街を、「珍妙な町」だという著者。
これには正直びっくりした。
そして残念なことに、お土産屋とかカフェなどにしか目がいかず、
肝心の教会や壁画には触れようともしなかったのか、あえて書かなかったのか、
その個所だけに対しては、私としては大いなる違和感を感じてしまった。
でも、この本では、紀行文でありながらも、僧侶であるマリオさんの人生観に触れたりして、
軽い(質量的に)とはいいつつも、けっこう深いノンフィクションだった。
おもしろかった。
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